Japan Data

縮むニッポン : 23年の出生数過去最少75.8万人―コロナ禍経て人口減加速、初の80万人超

社会 政治・外交 家族・家庭

「コロナ禍で結婚を先送りしたり、妊娠を控える人が多かった」という解説はもう通用しないかもしれない。行動制限が順次解除された23年も婚姻数はさらに減少し、出生数も再び過去最少を更新。少子高齢化が一段と進む中で、いかに社会保障制度を維持していくのか―課題の難度はますます高まっている。

厚生労働省が発表した人口動態統計(概数)によると、2023年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は、前年より4万1097人少ない75万8631人だった。1899年の統計開始以来、初めて80万人を割り込んだ2022年よりも、さらに減少して過去最少を更新した。出産期に当たる世代が減少していることに加え、コロナ禍の間に婚姻数が低迷したことが影響したとみられる。

速報値は、日本在住の外国人や在外日本人の数が含まれる。6月に発表される確定値は、日本に住む日本人の数で集計するため、速報値より少なくなるのは確実。

日本の人口動態

2023年 2022年
出生数(人) 75万8631 79万9728
死亡数(人) 159万0503 158万2033
自然増減(人) ▲83万1872 ▲78万2305
婚姻数(件) 48万9281 51万9823
離婚数(件) 18万7798 18万3103

厚生労働省の人口動態統計をもとに編集部作成、23年22年ともに速報値

死亡数は前年比8470人増の159万503人で過去最多を記録。人口の自然減(出生数と死亡数の差)は21年に初めて60万人を超えたが、22年は78万2305、23年は83万1872人と年を追うごとに人口減に拍車がかかっている。

日本の出生数は終戦直後の第1次ベビーブーム(1947~49年)には250万人、第2次ベビーブーム(71~74年)には200万人を超えた。その後は一貫して減り続け、第2次ベビーブーム世代の出産ブームも起こらぬままに、2007年以降は自然減の幅が拡大している。

23年の婚姻件数は、48万9281組と初めて50万組を割り込んだ。日本ではいまだに婚姻前や婚姻外の妊娠を歓迎しないムードが強く、婚姻件数の低迷が続く限り、出生数の回復にも期待が持てない。

人口動態統計速報

バナー写真 : PIXTA

少子化 少子高齢化 厚生労働省 人口動態統計 出生数