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広がるジビエ利用 6年間で1.6倍 料理レシピも多彩に

環境・自然・生物 文化

農村地域で深刻な被害をもたらす野生鳥獣の捕獲数が増え、肉を有効活用する取り組みが広がる。新たな料理レシピの開発も盛んだ。

農林水産省によると、2022年度に全国の処理加工施設750カ所で処理されたジビエ利用量は2085トンで、16年度に比べて1.6倍に増加した。外食産業での利用拡大、定着が進んでいるほか、ペットフードなどの新用途の開拓で着実に利用量が増えてきた。同省は、19 年度の水準から25年度までに倍増(4000トン)させることを目標にしている。「ジビエ」とは、フランス語で狩猟によって捕獲した野生鳥獣の肉や料理のことを指す。

ジビエ利用頭数の推移

ジビエ利用量の推移

日本でも古くから狩猟肉を食べる文化があり、肉食を禁忌としていた江戸時代には、「シカ肉=もみじ」、「イノシシ肉=ぼたん、山くじら」と植物の名前などを隠語として用い、「決して肉ではない」として、ごまかして食べていた。

野生鳥獣による農作物被害は22年度で156億円で、全体の約7割がシカ、イノシシ、サルによるもの。捕獲対策などが進み、10年度から3割減となっているが、農水省は「下げ止まっており、依然として被害は大きい」と話す。

北海道で撮影されたエゾシカ(農林水産省提供)
北海道で撮影されたエゾシカ(農林水産省提供)

肉をジビエとして流通させるには、「血抜き」など捕獲した鳥獣を適正に処理することが求められ、農水省は「ジビエハンター育成研修制度」を23年5月に導入。食肉処理施設の衛生管理などを推進するために、「国産ジビエ認証制度」を制定している。家庭や飲食店、学校給食なででジビエ料理を普及させようと、「ジビエ料理コンテスト」も開催している。

バナー写真:シカ肉のロースト(農林水産省提供)

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