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2023年の特殊詐欺:全国で被害440億円、「架空の料金請求」する手口が急増

社会

警察庁によると、2023年の全国の「特殊詐欺」被害額は440億円余りと2年連続で増加した。利用したことのないサービス料金を請求し、相手の不安をあおってお金をだまし取る「架空料金請求詐欺」の被害が急増している。

同庁がこのほど公表した2023年の特殊詐欺関連統計(暫定値)によると、全国の被害額は前年比70億4000万円(19.0%)増の441億2000万円。認知件数は同1463件(8.3%)増の1万9033件だった。

1日当たりの被害額は、同1929万円増の1億2089万円、既遂事件の1件当たりの被害額は同19万3000円増の237万9000円だった。

高齢者(65歳以上)被害の認知件数は1万4878件で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は78.3%。

警察の摘発件数は7219件(前年比579件増)、摘発人数は2499人(同41人増)。摘発された人のうち446人が20歳未満で、その約7割が現金などの受け取り役の「受け子」だった。「受け子」として摘発された総人員(1594人)のうち、20歳未満の少年(319人)が2割を占めた。

2023年に特殊詐欺グループの海外拠点を外国当局が摘発し、容疑者を日本に移送したケースはフィリピン、カンボジア、タイ、ベトナムでの12件、69人に上った。

特殊詐欺の被害額

特殊詐欺の認知件数

特殊詐欺とは、被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させて、指定した預貯金口座へ振り込ませるなどして、現金などをだまし取る犯罪の総称。警察庁は「暴力団や準暴力団を含む犯罪グループが、犯行の分業化・匿名化を図った上で組織的に実施している」としている。

手口別の状況をみると、2023年は利用したことのないサービス料金などを巧みに請求してだまし取る「架空料金請求詐欺」の認知件数が5000件を超え、全体の27.0%を占めてトップとなった。被害額は、前年比35.7%増の138億1000万円。同庁によると、この手口では被害者をだます手段として、インターネットサイト閲覧の際の「ポップアップ表示」が犯行の最初に使われたケースが43.8%に上った。

特殊詐欺認知件数の手口別構成比の推移

医療費や保険料の払い戻しがあるなどとして金をだまし取ろうとする「還付金詐欺」、家族になりすます「オレオレ詐欺」など、それ以外の手口については高齢女性が被害者の多くを占め、被害の大半は犯人からの電話を受けることに端を発している。

バナー写真:PIXTA

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