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愛されて95年 消えゆく牛乳瓶

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湯上りの熱い体を冷たい瓶牛乳で冷ます―。乳業メーカーが相次いで瓶入り牛乳の販売を取りやめる中、日本の銭湯でよく見られた光景も消えるのか? 

森永乳業(東京)は2024年3月末で、牛乳など瓶入りの宅配用全7商品の販売をやめる。一部商品は容器をペットボトルや紙製に切り替えて販売する。同社が瓶詰め牛乳の販売を開始したのは1929年で、95年にわたって親しまれてきた。

森永乳業がリニューアル発売する「森永カルダスミルク」=森永乳業提供
森永乳業がリニューアル発売する「森永カルダスミルク」=森永乳業提供

対象は「森永牛乳」や「森永珈琲」などで、一部自動販売機や銭湯でも販売されてきた。「森永カルダス」は容器をキャップ付きボトルに変え、「森永カルダスミルク」としてリニューアル発売する。賞味期限は12日間から18日間に延びるという。同社は、「お客様のニーズが変わったこと、輸送効率や瓶返却の手間といったことを総合的に考慮した」と説明している。

乳業メーカーは、瓶入り製品の販売を相次いで取りやめてきている。明治(東京)は2019年4月に清涼飲料水「明治フルーツ」の瓶入り販売を終了。キリンホールディングス傘下の小岩井乳業(東京)は21年3月末で、牛乳やミルクコーヒーなど瓶入り全8商品の販売を終えた。農林水産省の統計資料によると、瓶による牛乳生産は年々減少しており、22年は全体の2.6%だった。

容器別の牛乳生産量

小岩井乳業の広報担当者は、瓶入り製品の販売終了時にはSNSで「昭和の文化がまたなくなってしまう」という反響が広がったと振り返りつつ、「瓶牛乳に郷愁を感じるお客様が多かった」と話している。

バナー写真:左から、森永乳業が販売を終了する瓶入りの「森永牛乳」「森永珈琲」=森永乳業提供

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