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首都直下地震の経済被害は1001兆円 土木学会が推計

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首都直下地震による経済被害は、最悪の場合1001兆円に。建物への直接的な被害だけでなく、インフラや生産設備の損傷により長期的な損失が膨らむ。

土木学会は2024年3月14日、首都直下地震が起きた場合、復興するまでの経済被害は20年間で総額1001兆円に上るとの推計を発表した。18年には778兆円と推計していたが、東日本大震災に関する研究データを踏まえて再計算した。

政府の地震調査委員会は、30年以内に首都直下地震が発生する確率を70%程度としている。内閣府は、死者は最大2万3000人、建物の直接被害や生産・サービス低下の被害を合わせた経済被害を計95兆円と推計している。

推計1001兆円の内訳は、道路や港湾、生産設備の損壊による長期的な経済被害が954兆円で、建物損壊などの資産被害が47兆円だった。このほか、国の財政への影響では、復興費が353兆円、税収減が36兆円と、合わせて財政赤字が389兆円膨らむと推定している。

巨大災害による経済被害の推計

高潮や洪水による経済被害も推計された。巨大な高潮が東京湾で起きると115兆円、伊勢湾では126兆円、大阪湾では191兆円。気候変動により工業化以前と比べて世界の気温が2度上昇した場合、全国109の河川で計537兆円の被害が出ると試算している。

土木学会は、道路や港湾の耐震化や堤防建設などの対策を取れば、長期的な経済被害について首都直下地震では4割、高潮では2~7割、洪水では100%減らすことができると見込んでいる。

バナー写真:東京都など首都圏9都県市による防災訓練=2023年9月1日、神奈川県相模原市(時事)

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