「sushi」?「susi」? ローマ字表記ルール 70年ぶり見直しへ
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ローマ字表記の統一的ルールを巡り専門家の議論が始まる。見直しとなれば約70年ぶりだ。
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ローマ字の表記の仕方には、大きく分けて2通りある。1937年に内閣訓令で定められた「訓令式」と、幕末に来日した米国人宣教師のJ.C.ヘボンが考案した「ヘボン式」だ。訪日客や日本で暮らす外国人が増える中、混在する表記法を整理し、ヘボン式が浸透している実態に合わせるため、文化庁の審議会で検討が始まる。
ローマ字表記の違い
地名例
訓令式 | ヘボン式 | |
---|---|---|
渋谷 | Sibuya | Shibuya |
愛知 | Aiti | Aichi |
難波 | Nanba | Namba |
富士 | Huzi | Fuji |
事物例
訓令式 | ヘボン式 | |
---|---|---|
柔道 | zyudo | judo |
津波 | tunami | tsunami |
豆腐 | tohu | tofu |
すし | susi | sushi |
天ぷら | tenpura | tempura |
絵文字 | emozi | emoji |
国は54年の内閣告示で「一般に国語を書き表す場合」は訓令式を用いるとし、小学校でも内閣告示を踏まえた学習を求めている。一方で、ヘボン式は英語のつづりに近く、戦後に連合国軍総司令部(GHQ)が駅名表示などに採用して浸透した。
文化庁国語課は「内閣告示は強制力があるものではなく、あくまで国が示している目安」と説明。内閣告示も、国際関係や慣例が「にわかに改めがたい事情にある場合に限り」、ヘボン式の使用は問題ないとしている。現在、パスポートや各種案内表示ではヘボン式が広く使われている。審議会での検討が進んで内閣告示が改定されることになれば、約70年ぶりとなる。
盛山正仁・文部科学相が5月14日、ローマ字表記についての検討を審議会へ諮問した文書では、内閣告示の時点においては「ローマ字を用いて国語の文章をつづることを想定していた」とし、現在の主な使用目的が「日本語を母語としない人たちへの配慮や、国際社会への情報伝達」になっていると指摘している。
審議会では、すでに国際社会で広く使われている「judo」「matcha」など、英語に準じたローマ字表記についても検討する。審議会は来春以降に結論を出す見通し。
バナー写真:PIXTA