
ウクライナ避難者7割「日本で進学を」: 長期滞在へ就労支援求める声も
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母国進学を大きく超える
調査は、2024年10~12月に、日本財団が支援するウクライナからの避難者(18歳以上)を対象に実施し、887人が回答した。
子どもの進学先について、保護者の66%が「日本の学校」を想定。現時点の就学先は63%が「日本の学校・幼稚園」だが、これを上回った。進学先として日本以外の「母国」か「第三国」の学校を想定する保護者は合わせて2割に届かなかった。
保護者から見た子どもの日本語能力は、「全て理解」「だいたい理解」が46%で、来日時の1割未満から大幅に向上した。来日時は「ほとんど聞き取れない」「単語だけ」が8割だったが、現在は17%に減少した。ウクライナ人避難者にとって日本語能力が就労や進学の壁と指摘されてきたが、子どもは順調に日本語能力を身に付けている。
44%「できるだけ長く滞在」
日本滞在を続けたい人の割合は7割超で前年同期比で横ばい。「できるだけ長く」滞在したい人は5ポイント増えて44%となった一方、「状況が落ち着くまでしばらく」は7ポイント減の27%だった。
避難者のうち、働いている人の割合は7ポイント増の54%。フルタイム勤務は2ポイント増の14%だった。パートタイムで働く人は4ポイント増の39%で、非正規雇用が多い状況が続いている。働いていない人は計46%で、求職中は27%。日本に長期滞在するための生活基盤として、多くの避難者が安定した職を求めており、日本側に求める支援(資金・物資を除く)は「仕事の紹介、職業訓練」が46%と最も多かった。
「進学」「就労」への支援希望多く
日本財団は、ロシアによるウクライナ侵攻後、日本に避難したウクライナ人約2000人に対し、最長3年間の生活資金などを支援。2月19日の記者会見で、今後は生活資金の支援を順次終了し、就労支援や日本語の習得の支援などを柱にしていくと明らかにした。
記者会見に出席した、ウクライナからの避難民の高校生サマルハ・アレキサンダーさんは、4月から日本の大学で学び始める。「日本でこれからも勉強し、仕事をし、将来は家庭も持ちたい。日本で勉強するための資金をサポートしてほしい」と語った。日本で就職予定の大学生リピナ・ワレリヤさんは「働くための支援や、日本にいるウクライナ人同士が悩みなどを話し合う場への支援を期待したい」と話した。
日本財団の笹川順平専務理事は「多くのウクライナの避難者が日本に適応しており、これまでの支援はうまく機能したのではないか。今後はNPOや自治体などと連携して支援していきたい」と述べた。
バナー写真:日本財団での記者会見で、日本での生活への支援に感謝し、日本での進学などの期待を語った高校生サマルハ・アレキサンダーさん(右手前)らウクライナからの避難民(松本創一撮影)