「早期・希望退職」募集が9割増:黒字・大企業もリストラの波
経済・ビジネス 仕事・労働
今年に入り上場企業の「早期・希望退職」の募集人数が前年比で9割も増えている。このペースが続くと、リーマンショックの影響を受けた2009年(2万2950人)を上回る可能性があるという。人手不足にもかかわらず、黒字企業や大企業にリストラの動きが広がっている。
- English
- 日本語
- 简体字
- 繁體字
- Français
- Español
- العربية
- Русский
東京商工リサーチの調査によると、2025年1月1日~5月15日の間に判明した上場企業の「早期・希望退職」の募集人員は8711人となり、前年同期比87%増加した。一方、企業数では19社と、3割減っており、大企業の大型退職募集が相次いでいることを示している。
業種別では、電気機器が7223人と全体の83%を占めた。中でもパナソニックHDは直近決算(2025年3月期)で黒字を計上したにもかかわらず、収益性の低い事業見直しに向け、国内外で1万人規模(うち国内は5000人規模)の人員削減をすると発表。11期連続で最終赤字の「日の丸液晶」メーカー、ジャパンディスプレイは経営再建のため、1500人削減に取り組む。
一方、商工リサーチの集計には含まれていないが、業績不振の日産自動車はグローバルで2万人削減(国内募集分は未定)を打ち出している。生産工場は17から10に減らす方針。閉鎖対象には、追浜工場や日産車体の湘南工場(いずれも神奈川県)といった主力工場が含まれる可能性があると報道されている。

「閉鎖の可能性」が報じられている日産自動車・追浜工場(神奈川県横須賀市) 撮影:ニッポンドットコム編集部
人員削減を発表した19社のうち、黒字企業はパナソニックHDのほか、半導体のルネサスエレクトロニクスなど12社を占める。商工リサーチの担当者は「黒字であっても同業他社よりも利益率が劣っていると、上昇中の人件費は看過できなくなっている。今後の競争基盤を整えるために、黒字のうちに体質改善を図ろうとしているのではないか」と指摘する。
さらにトランプ関税を巡る日米交渉の行方次第では「日産にとどまらず、他の自動車メーカーや輸出産業でも人員削減の影響が出る可能性がある」という。
バナー写真:PIXTA

