「東京から他県へ」中小企業の本社移転が進む:地価高騰、採用競争の激化
経済・ビジネス
他県へ本社や本社機能を移転する中小企業が増加し、中でも東京を離れる企業が目立っている。コロナ禍が終わり、リモートワークから都心への回帰が見込まれていたが、地価高騰や採用競争の激化を背景にむしろ都心離れが加速した。
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東京商工リサーチの調査によると、2024年度に他の都道府県に本社を移転した企業は1万6271社と、前年度に比べ18.7%増加した。資本金1000万円以上が2割、1000万円未満が8割。業種別では、サービス業や情報産業、小売業が上位を占める。工場を保有する製造業と違い移転しやすいためだ。
都道府県別では、東京都が1158社の転出超(転出企業数が転入数を上回った状態)と、最も転出が多く、前年度(631社)から加速した。半面、埼玉県が250社の転入超(転入企業数が転出数を上回った状態)と、最も転入が多かったのに続き、2位千葉県、3位神奈川県となっており、都内から近隣県への転出が目立っている。
商工リサーチの担当者は、中小企業の動きについて「都内は賃料が高く収益で吸収するのが難しい。コロナ禍が終息しても、リモートワークを活かして都心から流出している」と説明する。また、都内は商品・サービス需要や人材も豊富な半面、他社との競争が激しいことから「中小企業の間では地方で市場開拓したり、人材を確保したりする動きが目立っている」という。
本社・本社機能の流入トップ5
| 1位 | 埼玉 | 250 |
|---|---|---|
| 2位 | 千葉 | 192 |
| 3位 | 神奈川 | 172 |
| 4位 | 群馬、長野 | 95 |
| 6位 | 茨城 | 88 |
出典:東京商工リサーチ
本社・本社機能の流出ワースト5
| 1位 | 東京 | 1158 |
|---|---|---|
| 2位 | 大阪 | 264 |
| 3位 | 愛知 | 20 |
| 4位 | 福島 | 10 |
| 5位 | 鳥取 | 8 |
出典:東京商工リサーチ
一方、地区別では、流入超(148社)が最も多かったのが九州。世界最大の半導体受託製造の台湾積体電路製造(TSMC)工場の熊本県への誘致が寄与して、全県で製造業や情報通信業などの企業を呼び込んだ。次いでトヨタ自動車やスズキなど製造業が盛んな中部(147社)が多かった。
【資料】
- 東京商工リサーチ「2024年度 本社機能移転状況調査」
バナー写真:PIXTA
