がん治療の将来:2040年に消化器外科医が「5000人不足」―厚労省の検討会が推計
社会 健康・医療
2040年にがんに罹患(りかん)する患者数は現在より3%増加、手術の需要は5%減るものの、手術を担当する医師はこれを大幅に上回る速さでの減少が見込まれる──。こんな推計を盛り込んだ報告書を、厚生労働省の検討会がまとめた。
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同省の「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」は、2040年におけるがん治療の需要と医療側の供給体制について、各種のデータをもとに推計。現在102万5000人であるがん罹患者(新たにがんと診断された人)は40年には3%増加し、105万5000人に達した後、高齢化の進展によるさらなる人口減を背景に、緩やかに減少に転じると予測した。
都道府県単位でみると、地方都市部・過疎地域では40年に向けても減少することが見込まれ、増加するのは都市部を中心にした16都府県と予測。東京都と沖縄県では10%以上増加するものの、秋田県では10%以上減少するとしている。
がん治療は現在、手術療法と放射線療法、薬物療法の3つが主流だが、今後の見通しについて、放射線療法と薬物療法による治療が増加。初回手術を受ける患者数は25年で推計46万5000人に対し、40年は約5%減少して44万人になると推計した。手術減少の理由は、生産年齢人口(15~64歳)における手術実施の割合が減っていることが挙げられた。
若手消化器外科医は10年で15%も減少
手術の需要が減っても、がん手術を受け持つ医師の数はこれを大幅に上回る速さで減少する見通しだ。特に消化器外科の医師数は、2022年で約1万9000人とこの10年間で10%減少。40歳以下の若手医師では減少率がより大きく、15%に達している。この背景には、長時間の手術や休日夜間の緊急対応など厳しい勤務状況を、若手が敬遠する傾向があることが指摘されている。
検討会では、現状と同様の状況が継続すれば、日本消化器外科学会の所属医師(65歳未満)は25年の1万5200人から、40年には9200人へ約39%減少。今後の手術の需要を考えると、5200人の不足が見込まれるとしている。
【資料】
- 厚生労働省「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」
バナー写真:PIXTA



