高齢化で所得格差が過去最大に―厚労省調査 : 再分配後は横ばい
経済・ビジネス 政治・外交 暮らし
所得格差を示す代表的な指標である「ジニ係数」が拡大している。税や社会保障を通じた再分配が格差を是正する役割を担う。
- English
- 日本語
- 简体字
- 繁體字
- Français
- Español
- العربية
- Русский
所得格差と再分配
厚生労働省が2023年に実施した「所得再分配調査」で、所得の格差を表す指標「ジニ係数」が1962年の統計開始以来最大の0.5855になった。ジニ係数は全世帯の所得が同一の状態を「0」とし、所得格差が拡大するにつれ「1」に近づく。
2023年の調査では、当初所得(世帯単位)の年額は前回調査比9.1%減の384万8000円だった。高齢化が進み、所得の低い世帯が増えていることが、所得格差が拡大の要因となっている。
当初所得から税金や社会保険料を控除し、社会保障給付を加えた再分配後の所得は前回調査比7.2%減の467万7000円だった。係数は0.3825で1999年以降、ほぼ横ばいで推移している。再分配による効果を示す「改善度」は、過去最大の34.7%だった。
当初所得の係数が上昇しても、再分配後の係数が維持されていることは、税や社会保障による再分配が機能していることを示すが、同時に現役世代の負担が重くなっていることも意味する。
調査は1962年から概ね3年ごとに実施している。2023年調査は7~8月に7430世帯を対象に実施、回収率は40.4%だった。
【資料】
- 厚生労働省「令和5年所得再分配調査報告書」
- 内閣府「賃金・所得格差と再分配効果」
バナー写真 : フォトAC
