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自社株買いが過去最高の勢い:株価押し上げも「もっと設備投資や給与に」との声

経済・ビジネス

上場企業が自社の株式を買い戻す「自社株買い」が2025年度、過去最高になる勢いだ。株価上昇につながる株主還元策である半面、資金があるなら設備投資や給与にもっと振り向けるべきだとの声も聞かれる。

「株価を意識した経営」が後押し

自社株買いは、企業が購入株数の上限を設定し、一定期間内に買い集める。ニッセイ基礎研究所が東証株価指数(TOPIX)構成銘柄を対象にした集計によると、2025年4~12月の設定額は14.2兆円だった。最大の案件は昨年4月発表の三菱商事(上限1兆円)。

この勢いが続けば、25年度は前年度の18.7兆円に「並ぶか、あるいは上回って5年連続で過去最高を更新する可能性もある」(ニッセイ基礎研の森下千鶴研究員)という。

自社株買い設定額の推移

自社株買いをすると、市場に出回る株式数が減り、企業の利益を株数で割った1株利益が増えるため、株価の上昇要因となる。ニッセイ基礎研によると、実際に自社株買いを発表した企業の株価は、翌日にはTOPIXの騰落率を平均で約2%上回っており、日経平均など株価全体を押し上げる要因の一つともなっている。

自社株枠設定後の株価の動き

企業価値の向上を求める指針「コーポレートガバナンスコード(CGC)」が2015年に策定されたのを機に、金融庁や東京証券取引所が企業に「株価を意識した経営」を奨励。外国人投資家の株主還元要求も強まったため、自社株買いは近年、急増している。

CGCは今年、改訂される見通し。経済界からは経営資源配分の在り方について「株主還元が大幅に拡大した一方、賃金や設備投資の伸びは限定的にとどまっている。持続的な成長と中長期的な企業価値向上が十分に果たされているか、改めて検証することが不可欠」(NTT西日本の小林充佳相談役)との意見が出ている。

【資料】

バナー写真:PIXTA

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