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実質賃金:4年連続マイナス、賃上げの実感消える

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せっかく賃金が上昇しても、物価高には追い付かない状態が昨年まで4年間も続き、庶民の生活は厳しい。衆院選でも争点になった物価高対策は奏功するのか。

今年はプラス転化か

厚生労働省の毎月勤労統計によると、物価上昇率を加味した実質賃金は2025年、前年比1.3%のマイナスだった。現金給与総額は35万5919円と同2.3%増加したものの、消費者物価は同3.7%上昇し、給与の増加分は帳消しとなった。この年は、各月とも実質賃金が前年同月比で減少しており、一度もプラス圏に浮上することはなかった。

2022年のウクライナ侵攻に伴うロシアへの経済制裁などを背景に、資源価格が高騰。この影響で日本は物価高に見舞われ、同年から年率3%台のインフレが続いている。一方、これに対応して賃金も上昇し始めているが、物価上昇率には及ばない状態が4年間続いている。

過去10年間の実質賃金と消費者物価

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済部長は、「2022、23年ごろは輸入物価が上昇する輸入インフレだったが、24、25年は賃金や物流、コメなどさまざまなコストが上がっており、すそ野の広いインフレに陥っている」と分析する。

もっとも今年の実質賃金について、斎藤氏は「5年ぶりにプラス圏に転じる可能性がある」とみている。電気・ガス料金の値下げやガソリン暫定税率の廃止で、物価上昇率は2%前後の見通し。一方、連合は今年の春闘で「3%(定期昇給除く)」の賃上げを目指しており、労組を持たない企業を含めても賃金上昇率は2%台を確保すると見込まれるという。

リスクは円安による物価上昇だ。高市早苗首相は8日の総選挙での大勝を受けて、改めて「責任ある積極財政」を推し進める考えを示した。しかし、市場には財政悪化への懸念があり、円安圧力がかかった状態が続く。

G7諸国の実質賃金推移

日本の実質賃金低迷は国際的にも顕著だ。主要7カ国(G7)の中で、日本はイタリアと並び1990年以降、ほぼ横ばい。米国は90年当時に比べて1.5倍と、大きな格差が生じている。

【資料】

バナー写真:PIXTA

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