東日本大震災から15年:被災地と福島第1原発の現状
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東電旧経営陣への賠償命令を二審が取り消し
東京電力福島第1原子力発電所事故を巡る株主代表訴訟で、東京高裁は2025年6月6日、東電旧経営陣の賠償責任を認めない判決を言い渡した。地震発生前に「(巨大津波の)予見可能性があったとは認められない」と判断した。22年7月の東京地裁判決は、勝俣恒久元会長(24年10月に死去)ら旧経営陣4人に13兆円超の賠償を命令。双方が控訴していたが、高裁は一審判決を取り消し、株主側の請求を棄却した。
福島第1原発事故で避難を強いられた住民らが国と東電に賠償を求めた9件の集団訴訟について、最高裁第一小法廷は26年1月22日付けの決定で、いずれも避難者側の上告を退けた。各地の高裁判決は、東電に賠償を命じる一方、国の責任を否定していた。
2051年までの廃炉はほぼ不可能に
東京電力は2025年7月、福島第1原発事故の炉心溶融事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の本格的な取り出しが遅れると発表した。当初の工程表では3号機で30年代初頭からデブリを大規模に取り出す予定だったが、37年度以降にずれ込む。このため、2051年までに廃炉を終えるとした目標の達成はほぼ不可能となった。
福島原発は1〜3号機にデブリが推計880トンある。被ばくの危険から作業員は近づけないため、撤去作業は廃炉作業の中でも最難関の課題だ。東電は24年に2号機でロボットによる試験的な取り出しに着手し、初回は約0.9グラムを回収。2回目となる25年4月には、3グラム以下の複数個のデブリを回収したという。
原発「処理水」放出を継続
福島第1原発から出た「処理水」(核燃料の冷却などに使った汚染水の放射性物質をろ過プロセスで取り除き、除去が難しいトリチウムなどが一部残存している水)の海洋放出は2025年度も続いた。25年度は7回(1回あたりの放出水量は約7800立方メートル)放出する予定で、12月までに6回を実施済み。東京電力は、原発敷地内に貯蔵されている処理水の量は、海洋放出前(2023年8月)から6%減少したとしている。
中国は2025年11月、処理水放出を理由に続けていた日本産水産物の全面禁輸を一部解除し、日本からホタテやナマコの輸出が再開された。しかし、高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁に反発し、同19日には事実上の輸入再停止に踏み切った。
除染土の最終処分あと20年で
福島第1原発事故による放射線物質の放出・拡散により、原発周辺の7市町村の一部が現在も避難指示区域(帰還困難地域)に指定されている。福島県によると、2025年12月現在、約309平方キロ。この1年で、飯舘村の堆肥製造施設用地と外縁部の農地、葛尾村の風力発電所用地の計26ヘクタールが新たに避難指示区域から外れた。
政府は帰還困難地域のある町村の中で、優先的に除染を進めて避難指示を解除する復興拠点を整備。拠点内ではインフラ整備が進む一方、避難先から帰還する住民は少数にとどまっている。
政府は25年8月、福島第1原発事故に伴う除染で出た土壌の再生利用や処分の具体化に向けた工程表をまとめた。35年までに最終処分場候補地を決定し、福島県内で出た除染土は45年3月までに県外で最終処分するとした。
東日本大震災とは
2011年3月11日金曜日午後2時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生。宮城県北部の栗原市で最大震度7を観測したほか、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉の8県で震度6弱以上を観測した。その直後に福島県相馬市で9.3メートル以上、宮城県石巻市で8.6メートル以上、岩手県宮古市では8.5メートルの高さとなる大規模な津波が広範囲にわたって沿岸部に押し寄せた。発災直後の避難者は約47万人。仮設住宅などの入居は最大で約12万4000戸に及んだ。
政府が把握した人的被害は、震災発生から3カ月余りの6月20日時点で、死者約1万5000人、行方不明者約7500人、負傷者約5440人に達した。
復興庁によると、災害関連死を含めてこれまでの死者は1万9782人、行方不明者は2550人、全壊した住家被害は12万2053棟。25年11月現在、今も約2万7000人余りが避難生活をしている。
【資料】
- 復興庁「復興の現状と今後の取組」
- 福島県「復興・再生のあゆみ(第18版)」
- 東京電力「処理水ポータルサイト」
バナー写真:東京電力福島第1原発事故をめぐる株主代表訴訟の控訴審判決のため、東京高裁に入る原告ら=2025年6月6日、東京都千代田区(時事)

