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冬眠明けのクマ出没、東北中心に早くも警戒水準:市街地でも相次ぐ

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冬眠明けのクマの目撃情報が東北や北海道の各地で相次いでいる。4月は人身被害も増えており、地元自治体は「特別注意報」を出すなどして、いっそうの注意を呼び掛けている。

4月の死亡被害は5年ぶり

クマが冬眠から目覚めるのは3月以降。餌を求めて活発に動き回るようになり、今年も人間との遭遇や被害が増えている。

岩手県紫波町では4月21日、行方不明者を捜索していた50代の警察官がツキノワグマに襲われ、けがをした。付近ではクマに襲われた成人女性1人の遺体が発見された。環境省の統計によると、4月時点でクマによる死亡が発生したのは2021年以来。

襲われてけがをする例も相次いでいる。富山市の住宅街では4月29日、犬の散歩をしていた40代の女性がクマに襲われ、顔や首、頭などをひっかかれた。

北海道の日本海側に位置する島牧村では4月26日、地元猟友会のハンター5人が冬眠明けのヒグマを駆除する「春期管理捕獲」で出動中、山中の斜面の上にいたヒグマに発砲。命中し転がり落ちてきた体長2メートルほどのヒグマが60代の男性ハンターに襲いかかった。このクマは銃弾が6、7発命中するまで絶命せず、男性は頭などに重傷を負った。同行のハンターは「あんなにしぶといクマは初めて」と語った。

主なクマの被害や都市部への出没(2026年1~4月)

富山市 (4月29日)住宅街で40代女性がクマに襲われ、けが
福島市 (4月26日)山菜採りをしていた50代男性が襲われ、足にけが
北海道島牧村 (4月26日)地元猟友会のハンター5人が山中で駆除活動中に発砲し、ヒグマに命中。クマは絶命せず、60代の男性ハンターを襲った。男性は重傷
秋田市 (4月25日)高齢者施設の敷地内にクマが出没
福島県天栄村 (4月22日)陸上自衛隊の演習場で30代男性自衛隊員が襲われ、けが
福島県鏡石町、須賀川市 (4月21~22日)学校の周辺などで目撃情報相次ぐ
岩手県紫波町 (4月21日)行方不明者を捜索していた50代警察官がクマに襲われ、顔や足にけが。付近に成人女性1人の遺体があり、地元報道によるとクマに襲われたとみられる
仙台市青葉区 (4月17~19日)住宅地で、クマ目撃が相次ぐ。マンション裏の茂みで確認し捕獲、緊急銃猟の対応
新潟県長岡市 (4月12日)約1週間、住宅地付近に連日クマが出没。市が用意したわなで捕獲。緊急銃猟の対応
福島県郡山市 (4月8日)数日間にわたり市街地などでクマに出没し、緊急銃猟の対応
札幌市中央区 (3月26日、4月14、19日)住宅地でヒグマと見られる動物目撃
岩手県宮古市 (3月8日)登山コースで、60代男性が雪穴の中にいたクマに左足をかまれる
岩手県花巻市 (2月13日)花火などでクマを追い払っていた70男性が襲われ、頭や顔にけが。その後捕獲、駆除

※地元自治体発表情報などからnippon.com作成

環境省の速報値では、2025年度のクマによる人身被害は216件、被害者238人、死者13人にのぼり、過去10年で最も深刻な水準となった。出没情報も2025年度は5万359件に達し、23年度の2万4348件、24年度の2万513件を大きく上回った。

クマ類による人身被害

例年より早く「警戒」、住宅地でも出没相次ぐ

東北各県は注意喚起を強めている。秋田県は4月10日に発令したツキノワグマ出没注意報をわずか4日後の14日に「出没警報」へ切り替えた。福島、青森、宮城、岩手の各県も出没に関する警報を出している。今年は各県とも目撃が多く、例年より早めに警報が出ている。

都市部や住宅地での目撃情報も相次いでいる。クマの出没増加は餌となる木の実の凶作が一因とされているが、人口減が進む人里に慣れたり、空き家で放置された果物の木の実を食べるなどして餌の在りかをを学んだりしたクマが増えているとの指摘もある。

仙台市青葉区の住宅街では4月17~19日にツキノワグマが相次いで出没。マンションの茂みで発見、捕獲された。札幌市中央区の住宅地でも3月末~4月にヒグマと見られる動物が計3回目撃された。

山中だけでなく、住宅地周辺や農地、通学路、観光地でも「出会わない」ための対策が必要になっている。環境省などは、ハイキングや登山の際はクマに関する情報サイトなどで出没情報を確認し、単独行動を避け、クマ鈴やラジオ、忌避スプレーを携帯するなど、基本的な備えを徹底するよう呼び掛けている。また、普段の生活でも生ごみや廃棄野菜の管理、自宅や倉庫の施錠、やぶ払いなど、クマが人里に近付かないための工夫が重要だという。

クマ対策の鈴とスプレー
クマ対策の鈴と忌避スプレー(PIXTA)

【資料】

バナー写真:クマの出没が相次ぎ、自治体はクマへの注意喚起を強めている(PIXTA)

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