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豆腐を知り尽くしたマイスターのイチオシ簡単レシピ

この季節にぴったりのレシピを豆腐マイスターの工藤詩織さんに紹介してもらう。ポタージュ、ハワイ料理のポケ、カプレーゼ風サラダやスパニッシュオムレツも豆腐で作れる。そのまま食べてもおいしいが、焼く、煮る、揚げる、つぶすなど、豆腐は調理方法によって味や印象が一変する。

豆腐をそのままで

どんな食材とも調和する柔軟性やその姿形から「白いキャンバス」と例える職人もいる。最も簡単な食べ方の「冷ややっこ」のように、そのままでも食べられるほど手軽な食材だ。まず、そのまま食べる際にお勧めしたいのは、具材の準備をしている間に、豆腐を皿に出して室温に慣らしておくこと。大豆のこくを感じやすくなり、豆腐を堪能できる。

アレンジ冷ややっこ【サルサ・メヒカーナやっこ】

作り方

  1. トマト、赤タマネギ、ピーマン、唐辛子をそれぞれ細かく切る。
  2. 塩、オリーブオイル、すりおろしニンニク、レモン果汁、粗びきこしょう各適量、好みで刻んだパクチーを加えて混ぜたものを豆腐にのせる。
  3. キュウリやミョウガを加えて食感や香りを変えてもおいしい。

アレンジ冷ややっこ【オニオンレモンマスタードやっこ】

爽やかな酸味とタマネギの食感を味わう。

作り方

  1. マスタードとオリーブオイル、レモン果汁を混ぜて豆腐にかけ、細かく刻んだタマネギをのせる。
  2. 塩味が足りなければ岩塩をかける。

【豆腐のハワイアンポケ(Poke)風】

ハワイのソウルフード「ポケ/ポキ(Poke)」を豆腐で再現。サラダ感覚で食べられる。好みでわさびや一味唐辛子を混ぜればスパイシーに。

作り方

  1. 木綿豆腐は2〜3センチ角に切り、キッチンペーパーで包んで10分ほど水気を切る。アボカドは角切り、タマネギは薄くスライスする。
  2. しょうゆ(ポン酢でもよい)小さじ2、ごま油小さじ2、塩小さじ1/2を混ぜて、ボウルの中で①と合わせる。
  3. 皿に盛りつけたら、好みでごまやのりを散らす。

【オイル漬け豆腐】

使い切れなかった豆腐をしっかり水切りしてオイル漬けにすれば、フェタチーズのような新食感で豊かな味わいに生まれ変わる。

作り方

  1. 木綿豆腐を2センチ角に切り、キッチンペーパーで包んで、時折ペーパーを取り換えながら重しをせずに、1時間ほど水切りする。(重しをするとつぶれてしまう)
  2. ふた付きの瓶にできるだけ隙間なく豆腐を詰めて、全体が浸るまでオリーブオイルを注ぐ。
  3. 塩小さじ1程度を入れ、種を取った唐辛子やバジル、ローズマリーなど好みのハーブを入れる。ふたをしっかり閉めて、塩が均一に混ざるように瓶を傾ける。
  4. 冷蔵庫で2晩以上寝かせて完成、5日以内に食べ切る。

【オイル漬け豆腐のカプレーゼ風】

前菜に最適

作り方

  1. オイル漬け豆腐と、半分に切ったミニトマト、バジルを皿に盛り付ける。
  2. 豆腐を漬けておいたオリーブオイルを上からかけて、粗びきこしょうを振る。

★オイル漬け豆腐は、他にもペースト状にしてサンドイッチの具にしたり、ポテトサラダに混ぜたり、アレンジできる。

つぶす

【豆腐ポタージュ】

とろりとした口当たりで、優しくおなかを満たすポタージュは、朝食にぴったり。ゆでたエダマメや蒸したカボチャなどを加えれば、色鮮やかに仕上がる。夏は冷製スープにしてもおいしい。

材料(2人分)

  • A
    • 絹ごし豆腐:150グラム程度(1/2丁)
    • 豆乳: 200ミリリットル
    • 顆粒(かりゅう)コンソメ:小さじ1
    • 塩:小さじ1/4
      (塩の代わりにみそ小さじ1/2を加えると、うま味が深まる)
  • 粗びきこしょう:適量
  • オリーブオイル:適量

作り方

  1. ミキサーにAを入れて、かき混ぜる。
  2. ①を鍋に移し中火にかけ、へらで鍋底から混ぜながら温める。沸騰しないように注意する。
  3. 器に盛り、仕上げに粗びきこしょう、オリーブオイルをかける。

【スパニッシュ豆腐風オムレツ】

卵に滑らかにした豆腐を加えた生地は、蒸し焼きにすると、ふんわりと膨らみ、冷めても硬くなりにくい。乾燥パセリやハーブミックスなどを加えると、さらに香りが豊かに。ミニトマトやマッシュルーム、グリーンピースなど、具材はアレンジできる。

材料(2人分)

  • 豆腐(木綿でも絹ごしでも可):150グラム程度(1/2丁)
  • 卵(M〜Lサイズ):3個
  • ジャガイモ:65グラム (小さめ1個)
  • ホウレンソウ:45グラム(1束)
  • ベーコン:60グラム
  • ピザ用チーズ:30グラム
  • 塩:適量
  • こしょう:適量
  • 乾燥パセリやハーブなど:好みで
  • オリーブオイル:適宜
  • ケチャップ:適宜

作り方

  1. ジャガイモは皮をむいて半分に切り2ミリほどの半月状にスライス、ホウレンソウは一口大、ベーコンは1センチ幅に切る。
  2. ボウルに豆腐を入れ、泡立て器で滑らかになるまで混ぜて、ペースト状にする(ミキサーやフードプロセッサーを使っても良い)
  3. ②に卵を割り入れ、かき混ぜる。
  4. フライパンにバターを入れて、ホウレンソウとベーコンを炒める。塩、こしょうで味を付けて、火が通ったら③に加える。ジャガイモ、チーズもボウルに加えて混ぜる。
  5. オリーブオイルを敷いたフライパンを弱めの中火で温め④を流し入れて、ふたをして8〜10分ほど蒸し焼きにする。
  6. 片面がよく焼けたら裏返して、ふたをせずに5分ほど焼く。表面に焼き色がついたら完成。
  7. 6〜8等分に切り分けて好みでケチャップをかける。

煮る

【肉豆腐】

豆腐は煮物にすると、スポンジのようにうま味を吸う。定番の肉豆腐は、フライパン一つあれば短時間で作れる。豆腐は高温で煮ると硬くなって食感が悪くなるため、やや濃いめの煮汁を用意して、最小限の火力で味を含ませ、ぷるんとした弾力を残すのがポイント。

材料(2人分)

  • 木綿豆腐:150グラム程度(1/2丁)
  • 牛薄切り肉:150グラム
  • タマネギ:1/2個
  • A
    • 酒:大さじ3
    • 砂糖:大さじ1
    • みりん:大さじ2
    • しょうゆ:大さじ3
    • 水:200ミリリットル
    • 好みで、シイタケ、しらたきを加えればボリュームが出る。

作り方

  1. 木綿豆腐は4~5センチ角、厚さ1.5~2センチに切り、キッチンペーパーで15分ほど水気を切る。牛肉は食べやすい大きさに切り、タマネギはくし切りにする。
  2. 深めのフライパンに豆腐とタマネギを並べ、あらかじめ合わせておいたAを加えて弱火にかける。時々、おたまで煮汁をすくって上からかけると、豆腐に味が染みる。
    ★豆腐は煮汁に浸る薄さに切ると、味がしみやすくなる。
  3. タマネギが透き通り、豆腐に味が染み込んできたら、水を加えて中火で加熱する。
    ★豆腐の水切りが足りないと、水分が出てくるので、水の量を20~50ミリリットルほど減らす。
  4. 豆腐とタマネギをフライパンの端に寄せ、あいたスペースに牛肉を1枚ずつ広げて火を通す。
  5. 火を止めて10分ほど置く。
    ★豆腐や牛肉は高温で長く煮ると、硬くなり食感が悪くなるので、加熱時間は最小限に抑える。
  6. 器に盛り、好みで七味唐辛子やサンショウをかけて食べる。

写真撮影=工藤 詩織

レシピ 料理 豆腐