当世風・日本の「二十四節気」:自然とともに生きる

立秋

文化 暮らし 環境・自然・生物

厳しい暑さが続いても、暦の上では秋。ほのかに秋の気配を感じ始める。

二十四節気では、「立秋」から「立冬」(11月8日ごろ)までを秋としている。立秋は、新暦では、8月8日ごろに当たる。暑い日が続くが、虫の鳴き声や植物から、秋の訪れを感じるようになる。

ながさき平和の日(8月9日)

1945年8月9日午前11時2分、長崎市に原子爆弾が投下され、多くの人が犠牲になった。市はこの日を「ながさき平和の日」とし、核兵器の廃絶と恒久平和の実現を世界に訴える式典を行う。

長崎市の平和祈念像(PIXTA)
長崎市の平和祈念像(PIXTA)

お盆(8月13日~16日)

1年に1度、先祖の霊が帰ってくる期間。墓参りや仏壇の掃除をして、霊を供養する。お盆に祖先を供養する盂蘭(うら)盆を旧暦に従って7月に行う地域もあるが、全国的には8月13日から16日までに行う場合が多い。魂送りとして、送り火や灯籠流し、精霊流しが各地で行われる。

先祖が迷わず帰ってこられるようにお盆にともす提灯(PIXTA)
先祖が迷わず帰ってこられるようにお盆にともす提灯(PIXTA)

盆入りの13日には、先祖が迷わず帰ってこられるように麻の茎の皮をむいて乾燥させた「おがら」で迎え火をたいたり、ちょうちんを飾ったり、玄関先にホオズキやキキョウなどの盆花(ぼんばな)を飾る。祖先の霊に一刻も早く帰ってきてもらい、少しでも長くいてほしいとの願いを込めて、精霊(しょうりょう)棚には速く走る馬に見立てたキュウリの精霊馬と、ゆっくり歩く牛に見立てたナスの精霊牛を作って飾る。

キュウリで作った精霊馬(左)とナスで作った精霊牛(PIXTA)
キュウリで作った精霊馬(左)とナスで作った精霊牛(PIXTA)

京都・五山の送り火(8月16日)

お盆に帰ってきた先祖の霊を送る京都の伝統行事。諸説あるが、室町時代以降から行われていると言われる。京都市内を囲む5つの山に、それぞれ「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居型」の形になるように火をともし、冥府(めいふ=死後の世界)に帰る精霊を見送る。

五山の送り火(左から)「大文字」「妙法」(PIXTA)
五山の送り火(左から)「大文字」「妙法」(PIXTA)

(左から)「船形」「左大文字」「鳥居型」(PIXTA)
(左から)「船形」「左大文字」「鳥居型」(PIXTA)

盆踊り

各地で行われる盆踊り大会には、先祖の霊を供養する意味が込められている。広場に組んだやぐらの周りを踊る円舞型と行列を作って前に進む行進型がある。始まりには諸説あり、仏教の「念仏踊り」から発展したともいわれる。現代では、炭坑節、花笠音頭、東京音頭などの楽曲や太鼓、打楽器や吹奏楽器の鳴り物に合わせて踊る。2022年11月、ユネスコの無形文化遺産に各地の盆踊りなど41件の「風流踊(ふりゅうおどり)」が登録されることが決まった。

盆踊り(PIXTA)
盆踊り(PIXTA)

徳島市の阿波踊り(8月12日)

400年以上の歴史があり、日本三大盆踊りの一つになっている。起源には、徳島城の築城を祝い城下の人々が踊ったという説や、盆踊りから始まったなど、複数の説がある。阿波踊りの誕生は徳島だが、各地の徳島県人会などが中心になり、今では全国に広がった。中でも1957年から始まった東京・高円寺の阿波おどり大会は、100万人が訪れるまでに発展している。

長野県諏訪市・諏訪湖祭湖上花火大会(8月15日)

毎年この日に行われる諏訪湖の花火大会。1回目が行われたのは1949年。戦後の混乱の中で、市民が1日も早く立ち直ることを願って始まった。湖上に設置した台から約4万発が打ち上げられる花火大会は、国内最大級。

諏訪湖の花火大会(PIXTA)
諏訪湖の花火大会(PIXTA)

終戦記念日(8月15日)

1945年のこの日、日本が連合国側に降伏し、ポツダム宣言を受諾したことを発表し、国民が第二次世界大戦の終結を知らされた日となった。戦没者の追悼と平和を祈念し、毎年、東京・千代田区の日本武道館で全国戦没者追悼式が行われる。

風鈴

古代・中国で使われた風の向きや音の出方で物事を占う占風鐸(せんふうたく)と呼ばれる道具が起源とされる。お寺の軒に吊り下げている青銅製の「風鐸」は、その音が厄を除けるとして使われてきた。風鈴と呼ばれるようになったのは鎌倉時代。僧侶が風鈴(ふうれい)と名付けた後に風鈴(ふうりん)となった。ガラス製になったのは1700年ころで、長崎のガラス職人が興行しながら伝えたと言われる。

江戸時代の末期には行商人が現れ、庶民の間に広がった。夏の間、全国各地で風鈴祭りが開かれ、涼やかな音色が清涼剤となっている。

長野県・穂高神社の風鈴祭り(PIXTA)
長野県・穂高神社の風鈴祭り(PIXTA)

新ショウガ

すし屋でおなじみ、スライスした新ショウガを甘酢漬けにしたガリ。食べるとガリガリいうのが語源だと言う。旬は6~8月。みそを付けて生で食べたり、薬味にしたり、爽やかな辛みが楽しめる。

かき氷

漢字で書くと「欠氷(かきごおり)」。字のごとく、昔は欠けた氷を食べていた。清少納言の『枕草子』には、上流階級が刃物で削った氷に甘い蜜をかけて金属製のお椀に盛り付けて食べていたことが記されている。庶民の口に入るようになったのは、明治時代。昭和になって氷削機の普及とともに全国に広がった。現在は1年中食べられる専門店が相次いでオープン。冬の間に時間をかけてゆっくり凍らせ、氷室で保管した天然氷を使ったり、フルーツをのせて見栄えにこだわったり、氷だけでなくしのぎも削る。

ふわふわのかき氷(PIXTA)
ふわふわのかき氷(PIXTA)

スイカ

浜辺でのスイカ割りは夏休みの楽しい思い出だ。近年は品種改良が進み、ラグビーボール型や小玉など、扱いやすいサイズに人気が集まっている。冷えたスイカは、暑い日の水分補給にうってつけ。夏の味覚の代表格だが、スイカは秋の季語

冷えたスイカ(PIXTA)
冷えたスイカ(PIXTA)

監修:井上象英 (INOUE Shōei)、暦作家・暦法研究家・神道教師・東北福祉大学特任講師。『神宮館高島暦』の主筆を長年務め、現在は講演や執筆活動を行う。

バナー写真=うろこ雲(ニッポンドットコム)

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