ごみ出しルール、市町村でこんなに違う:多言語案内が地域課題に
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分別しない人に厳しい目
不動産業のアルバリンク(東京都)が2025年、賃貸物件に住む500人に「外国人入居者とトラブルになりやすいこと」を尋ねたところ、71.4%が「騒音」、続いて33.0%が「ごみ出しルールを守らない」を挙げた。具体的には「曜日が守られない」「分別できない」といった声が多かった。外国人向け求人サイト「YOLO JAPAN」が19年に外国人513人に聞いた調査では、日本のルールやマナーについて「知らなくて困ったことがある」と答えた人が6割にのぼり、最多は「ごみの捨て方」だった。ごみ出しルールの説明と理解が、日本人と外国人の双方の課題になっていることがうかがえる。
大多数の市町村で家庭ごみは、「可燃ごみ」「不燃ごみ」「資源ごみ」「粗大ごみ」などに分別して決められた日に出すが、具体的には地域ごとに細かなルールがあり、日本人の間でもよくトラブルになる。東洋製缶グループの「ごみ白書2025」によると、ごみ分別の種別について、85.8%が「理解している」と回答。一方、ごみを分別しない人を「自分勝手な人だと思う」と答えた人は53.0%、「教養がない人だと思う」は27.6%だった。分別を個人の規範意識や人柄と結び付けて見る傾向がある、と言えそうだ。
ごみ集積所の管理や清掃は住民や集合住宅の管理人が担うことが多い。近隣住民でつくる自治会が「当番」を決め、集積所を掃除したり、カラスよけのネットを設置したりする。清潔な街並みは、地域住民の活動によっても維持されているため、ルールを守るかどうかが重視されるのだ。

地域住民やマンションの管理人が担うことが多いごみ集積所の片づけ(PIXTA)
地域ごとに分別が異なる理由
日本では、家庭から出る一般廃棄物(家庭系ごみ)の処理は市町村の責務だ。このため分別の仕方は、処理施設の性能、人口規模、市町村の財政力などによって異なる。ルールは日本人も驚くほど地域差があり、外国人が十分理解するには時間がかかる。
環境省の「日本の廃棄物処理」(2021年度版)によると、最も多いのは「11〜15種類」に分別している638市町村。7割以上で11種類以上に分けており、分別が細かい自治体ほど1人当たりのごみの量が少ない傾向にある。分別は、アルミ缶やペットボトルなどの再資源化はもちろん、焼却炉の負担を減らし、埋め立て処分場を長く使うなどの目的がある。
例えば、一部地域では飲料・しょうゆなどのPETマーク製品は、外したキャップとラベルを「プラ容器包装」として捨て、本体は中を水ですすいでつぶして「ペットボトル」の種別に捨てる。ただ、他の地域ではラベルを「燃えるごみ」に出したり、ボトルをつぶさなかったり、ルールは異なる。ごみ袋も指定品を使う場合と、「半透明なら自由」など市町村ごとに異なる。出す場所も、地域ごとの集積所の場合と、各家庭の玄関先などの戸別収集などがある。
大都市は、プラスチック類も可燃ごみとして一緒に処理する場合があり、分別数は少なめの傾向にある。量が膨大なため、分別が追い付かない側面もある。
一方、小規模自治体では処理施設の性能に合わせて住民に分別や持ち込みを求めてコストを抑えることがある。住民同士の協力により分別を徹底できるといった傾向もある。
上勝町と富良野市の徹底分別
「日本一細かい分別」と言われるのが人口約1300人の徳島県上勝町。44種類に分別している。紙類だけでも、雑誌、新聞紙、紙パックなど9種類に分けてリサイクルする。環境省によると、2024年度の上勝町のリサイクル率は全国2位の76.1%で、全国平均19.3%の約4倍だった。1人1日平均のごみ排出も482グラムで、全国平均の6割弱。原則として戸別収集はなく、住民が町内唯一のごみステーションに持ち込んで、分別しながら捨てる。不用品を町民同士で譲り合うリユースコーナーも設けている。

「ゼロ・ウェイスト宣言」をした徳島県上勝町のごみステーション(時事)
独自の基準でごみを細分化し、資源化率を高めている自治体として全国的に知られるのが北海道富良野市だ。1980年代から分別を始め、「燃やさない、埋めない」をスローガンに、2001年度に14分別にした。市の試算によると資源化率は9割という。一般的な「燃えるごみ」だけでも、(1)衣類や紙くずなど(2)生ごみ(3)紙おむつなどの衛生用品の3種類に分ける。衣類や紙くずなどは固形にし、燃料化する。生ごみは肥料にして使う。市内各地には空きびんなどを色や種別ごとに回収する「びんポスト」も設置している。
リサイクル技術の進歩に伴う変化もある。千葉市は2027年12月から、100%プラスチックのごみを新たに「プラスチック資源」として回収する。現在は、「可燃」「不燃」に分けているが、新施設でプラスチックごみを溶かして再資源化するためだ。新ルールでは、
自治体の7割有料化 東京23区は無料
環境省の2024年度調査では、粗大ごみを除く家庭ごみの回収を有料化しているのは、全国の67.3%に当たる1172市区町村。ごみを減らし、処理費用の一部を受益者に負担してもらう狙いがある。
専用の有料ごみ袋は、地域のコンビニエンスストアなどで販売し、40リットルで1枚20~50円程度が目立つ。
だが、地域差が大きい。北海道えりも町は、海岸線が長いことに加え、各戸の軒先まで回収しており、45リットルで200円と高額だ。一方、東京23区では家庭ごみの収集は原則無料だ。ただ、東京湾の埋め立て処分場は新設・拡大が難しくなり、有料化も議論されている。同じ東京都内でも、多摩地域の30市町村のうち29市町村は既に家庭ごみを有料化している。
環境省によると、2024年度の全国のごみ総排出量は3811万トンで、1人1日当たりは10年前の1割減の約839グラム。有料化やペーパーレス化などの要因が考えられる。一方、リサイクル率は19.3%で、10年ほど横ばいが続いている。
人口50万人以上の自治体で1人1日当たりごみ排出量が最も少なかったのは、東京都八王子市の約691グラム。川崎市、千葉県松戸市が続いた。リサイクル率は千葉市の34.3%が最も高く、岡山市、八王子市の順だった。
増える外国人向けアプリや多言語表示
海外でもごみの分別制度は一般的だが、分別の定着度は国や地域によって異なる。外国人も日本では市町村ごとにごみ出しのルールが異なるとの認識はあっても、細かな違いや厳格さは理解しづらいことも多い。
このため、外国人が多く暮らす地域では、引っ越し時に配られる冊子やチラシ、張り紙などを多言語化したり、ごみの分別方法や出し方をスマートフォンのアプリや人工知能(AI)を使ったりして多言語で案内する取り組みが広がる。
東京都江東区は2026年1月から、AIによる分別検索サービス「江東ごみナビ」の運用を始めた。日本語のほか、英語、中国語(簡体字)、韓国語、タガログ語、ベトナム語に対応している。捨てたい物の写真や名称を入力すると、AIが解析して正しい分別方法を案内する。ごみの収集日や回収場所も検索できる。

AIによる分別検索サービス「江東ごみナビ」。LINEを使い、多言語での対応が可能(nippon.com編集部撮影)
住民の多国籍化が進む埼玉県川口市は24年4月、条例の施行規則を改正し、マンションなどの物件の所有者や管理者に、ごみ出しルールを入居者の利用言語に応じた言語で表示するよう義務付けた。

多言語で不法投棄禁止や分別を呼びかける川口市の掲示(産経ビジュアル)
ただ、外国人が急速に増えている地域では、多言語の説明が追い付いていないケースも少なくない。高市政権が26年1月にまとめた「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」では、ごみ出しルールなど社会生活上の規範について、外国人に理解を促すとともに、多言語・やさしい日本語による情報提供・発信を進めることを明記。政府による自治体への支援メニューも創設し、全国で取り組みが広がりつつある。
バナー写真:ごみは半透明の袋に入れ、指定曜日に出すといったルールを守らないとシールなどで警告されることもある(左)、種類ごとにごみ出しの曜日を記した掲示板(右)=PIXTA





