【新刊紹介】デンマーク人の「花の芸術家」が日本で学んだ成功のルール:ニコライ・バーグマン著『いい我慢』
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著者の代名詞となっているのは、箱の中に花を敷き詰めてアレンジした「フラワーボックス」。花が大好きで、花屋を開きたいという希望を持ち、デンマークではフラワービジネスカレッジに通った。卒業旅行として、知人がいる日本で3か月滞在した。
日本の第一印象は、言葉が通じず、食べ物は口に合わず、「全部ヘン!」。だが、東京を見て無限の可能性を秘めている街だと感じ、日本に惹かれていく。
2年後の1998年に再来日し、花屋で働いた。休みは週1日なのに、よく仕事する日本人に驚き、「何か失敗しても、乗り越えて行こうと頑張る“へこたれない”姿」に感動する。
数年後には独立して、東京・有楽町や六本木に自分の店をオープンさせた。「素敵な店を作れば、絶対に売れる」「常に自分の責任で働く」「社長はいつも笑っていろ」「失敗からも学べる」などの体験談、失敗談が紹介されている。
福岡県の太宰府天満宮での展覧会の話が面白い。「未来の花見」をテーマとした3回目(2018年)の展覧会で、「お客さんを迎える鳥居から演出を始めたい」と提案。神社のシンボルの鳥居を、花で装飾するのは大きくて難しかったので、代わりに花見を象徴する色のピンクの布で巻くことにした。宮司は「一日だけ待って」と考えたが、翌日、OKを出してくれた。
著者は、恐れ多い企画が実現したのは、それまでの信頼関係が深まっていたこと、そして「肝心なのは天満宮とそれにかかわる人たちへのリスペクト(尊敬)があることだ」と指摘している。さらに、読者に「ビッグチャレンジを前に悩むことがあれば、『そこにパッションとリスペクトはあるか』と問い直してみるといい」と助言している。
この本のサブタイトルは「日本で見つけた夢を叶える努力の言葉」。我慢は日本人にはネガティブに受け取られがちな言葉だが、著者が好む「いい我慢」を重ねることは、運を生む環境を作ることにもなる。夢は我慢とともに、どんどん膨らんでいく。こんなことも、本書から教えてもらった。
あさ出版
発行日:2020年1月29日
247ページ
価格:1400円(税別)
ISBN:978-4-86667-188-8