【新刊紹介】SDGsは企業を長続きさせる道標:松木喬、松本麻木乃著「SDGsアクション」

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新型コロナウイルスに世界が翻弄(ほんろう)され続けている2020年。本書は、ウィズコロナの時代を生き抜くためにも企業がSDGs(国連の「持続可能な開発目標」)を活用していくことを提案、そのヒントが満載だ。

著者は、日刊工業新聞社で環境・CSR・エネルギー分野を中心に取材を続けてきた「SDGs経営」の松木喬氏。続編となる新刊本も、新しい環境言語が登場するたびに丁寧に説明してある。例えば「サーキュラー・エコノミー」は、「地域で発生した廃棄物を資源に変え、地域に利益をもたらす」というように、わかりやすく解説されている。

松木氏は、SDGsを重視した経営がウィズコロナやアフターコロナの時代を生き抜くポイントにもなるとしている。「本気・新しい活動・連携」によってSDGsに取り組んでいれば、危機に見舞われても回復を支えてくれるファンができるからだという。

本書では、17の目標をより具体的にした169のターゲットに踏み込んで事例が紹介されている。松木氏はこのターゲットこそ「SDGsの本質」と書いており、本書は企業が次のSDGsアクションを検討しやすくする「ヒント集」のようである。具体的なターゲットと自社の取り組みを紐づけられれば、「会社が世界から必要とされている」意識が生まれるのではないだろうか。

SDGsというテーマ自体は確かに生活者の目に触れやすくなってきた。特に2018年から19年にかけては「ブーム」とも言える状況で、一躍メディアの関心事ともなった。それがビジネスの話になると「経営層が向き合う課題」と片付けられる傾向があるし、もともと環境・社会課題も「その筋の人」が理解する高度なテーマと敬遠されがちだった。

スウェーデンの気候活動家、グレタ・トゥーンベリさんのように若い世代が世界に行動を強く促したことで、ようやく多くの人の意識に上ってきた。次の10年を見据え、169のターゲットにまで掘り下げ行動を起こしたい人にとって、本書は参考となるだろう。

日刊工業新聞社
発行日:2020年9月1日
A5版:312ページ
価格:2200円(税別)
ISBN: 9784526080845

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