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暮らしを脅かした「熊」と「米」が僅差のトップ2:2025年の「今年の漢字」

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銀行の駐車場に入り込み、スーパーの食品売り場を物色、自動ドアを通過して村役場にやってくる――アーバンベアが都市生活の経験値を高めていることを実感した2025年。「米」との接戦を制して、「熊」が今年の漢字に選ばれた。

日本漢字能力検定協会は12月12日、2025年の世相を表す漢字に「熊」が選ばれたと発表した。世界文化遺産の清水寺(京都市東山区)で森清範(せいはん)貫主(かんす)が、縦1.5メートル、横1.3メートルの和紙に揮毫(きごう)した。

2025年「今年の漢字」上位10位

  1. (23346票)熊(ユウ / くま)
  2. (23166票)米(ベイ・マイ・メ / こめ・よね・メートル)
  3. (18300票)高(コウ / たかい・たか・たかまる・たかめる)
  4. (6418票)脈(ミャク・バク / すじ)
  5. (5656票)万(マン・バン / よろず)
  6. (5296票)変(ヘン / かわる・かえる)
  7. (5114票)博(ハク・バク / ひろい)
  8. (3682票)女(ジョ・ニョ・ニョウ / おんな・め・むすめ・めあわせる・なんじ)
  9. (3658票)新(シン / あたらしい・あらた・にい・さら)
  10. (3067票)初(ショ・ソ / はじめ・はじめて・はつ・うい・そめる・うぶ)

1位の「熊」は、応募総数18万9122票のうち、最多の2万3346票を集めた。かつて、熊による人身被害といえば、キノコ採りや山菜採りで山に入った人がばったり遭遇するケースがほとんどだったが、近年、人間の生活圏に近接して暮らすアーバンベアの存在に注目が集まっていた。

今年は、銀行の駐車場、大学のキャンパス、スーパーマーケットなどごくごく普通の生活圏で熊の出没が相次ぎ、市町村長の判断で市街地での銃猟を可能とする「緊急銃猟」制度が9月1日から導入された。また、秋田県にはクマ被害対策支援のため自衛隊が派遣された。

2位の「米」は2万3166票で、「熊」とはわずか180票差だった。昨年から「米」価格の高騰が続き、政府は古米、古古米、古古古米に至るまでの備蓄米の放出に踏み切った。改めて日本が米食文化の国であることを考えさせられた1年。また、「米」トランプ大統領の関税引き上げに翻ろうされ、政治も産業界も右往左往。

図らずも、2025年の苦しさを象徴する2文字がトップ2となった。

3位「高」1万8300票は、物価「高」、株「高」、夏の「高」温といろいろあったけれど、なんといっても、初の女性首相となった「高」市早苗氏の動向には国内外から大きな注目が集まった。

当初の低調予想を覆して後半は大いに盛り上がった関西・大阪万博に関連して、4位「脈」、5位「万」、7位「博」もランクインした。

「今年の漢字」は1995年から毎年、同協会が公募し、最も多く応募が集まった漢字を発表するもので、今年で31回目となる。

【資料】

バナー写真:「今年の漢字」に選ばれた「熊」を揮毫する清水寺の森清範貫主=2025年12月12日、京都市東山区(時事)

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