新天皇ご一家の横顔

社会 皇室

即位された天皇陛下のご一家は、皇后陛下となられた雅子さま、長女の愛子さまの3人家族で、赤坂御用地内の赤坂御所(旧東宮御所)にお住まいになられている。

天皇陛下

天皇陛下は1960年生まれの59歳。名前は徳仁(なるひと)、称号は浩宮で、皇族一人ひとりが持つシンボルマークである「お印」は、梓となっている。

お父上の天皇即位に伴い91年、31歳の誕生日に立太子の礼が行われた。史学の研究者でもあり、92年から学習院大学史料館の客員研究員を続けている。

新年の一般参賀で手を振られる新天皇陛下(左)と上皇さま=2019年1月2日、皇居(時事)
新年の一般参賀で手を振られる新天皇陛下(左)と上皇さま=2019年1月2日、皇居(時事)

最もよく知られた趣味は登山で、その道50年のベテラン。日本山岳会に所属し機関誌に寄稿したり、山を撮影して写真展に出展したりしている。音楽もお好きで、大学時代には音楽部でビオラを演奏していた。現在も、学習院OB管弦楽団の定期演奏会に出演している。

公務中にカメラを手にされるなど、これまでにない皇族の行動を示す機会も目立つ。2017年には、訪問先のデンマークで、散策中に一般男性から携帯電話の自撮り写真でのツーショットを求められて笑顔で応じ、同行した宮内庁関係者を驚かせた。

皇太子(新上皇)家の第一子として生まれたが、必ずしも皇室の慣例によらない環境で誕生、成長した。母親の美智子さまは懐妊した時、民間の母親と同じく母子手帳を手にされ、宮内庁病院で出産された。上皇ご夫妻は当時、慣例だったお子さまとの別居を望まず、お住まいでお子さまを自ら育てられた。

幼少時の陛下に関して、多くの国民の記憶に残るのが「ナルちゃん憲法」と呼ばれる育児メモだ。美智子さまが生後7カ月の浩宮さまを日本に残して米国訪問に向かわれる際に世話係に書き残したもので、「一日に一回くらいはしっかり抱いてください」などの記述があったとされる。

6歳になった1966年、歴代の皇族が学んだ学習院初等科に入学し、中等科、高等科、そして同大学文学部で学んだ。88年には同大大学院人文科学研究科博士前期課程を修了している。皇族には自然科学の研究者が多かったが、皇太子さまは人文科学を専攻し、中世の交通史・流通史を研究された。

83年から1985年にかけて英国オックスフォード大学に留学し、テムズ川の水運史について研究した。水に関する研究は、陛下のライフワークになっている。 

成人した後は常に、お妃選びが社会の関心を集め続けた。宮内記者会からも、趣味の登山になぞらえて「お妃選びを富士登山に例えると」とたびたび質問が出され、「七合目ぐらいでしょうか」などとユーモアを交えて回答されたこともあった。

93年、外交官だった雅子さまと結婚。お二人は86年に東宮御所で開かれたスペイン王女歓迎の茶会で出会い、7年をかけてゴールインした。

皇后陛下

皇后陛下となった雅子さまは、1963年生まれの55歳。外交官だった小和田恆(ひさし)氏の長女として生まれた。お印はハマナス。米国ハーバード大学卒で、外交官として活躍した経歴を持ち、英語のほかドイツ語、フランス語も堪能。

中学時代にはソフトボールに打ち込み、結婚後は、ご家族で皇太子さま(当時)の好きな登山やスキーを楽しむ様子が伝えられている。

皇后陛下となった雅子さま=2019年1月2日、皇居・半蔵門(時事)
皇后陛下となった雅子さま=2019年1月2日、皇居・半蔵門(時事)

日本生まれだが、父親の転勤に伴い、幼児期は外国で長く暮らした。モスクワ、ジュネーブのほか、4歳からはニューヨークで過ごした。

7歳で日本に戻り、田園調布雙葉学園の田園調布雙葉小学校に編入、同学園で高校まで学んだ。79年に父親が在米日本大使館公使に就任したのを機に、再び米国へ。マサチューセッツ州の州立高校に転入学し、ハーバード大学経済学部に進学、85年に卒業した。専攻は数理経済学だった。

帰国して東京大学法学部に在籍した後、87年、外務省に入省した。88年から90年の英国オックスフォード大学ベリオール・カレッジでの研修留学を経て、外務省で勤務した。皇太子さまとの結婚が決まり93年、退職して皇室に入った。

2001年には長女の愛子さまを出産。40歳を迎える直前の03年、帯状疱疹で入院したのを機に長期療養に入り、公務から遠のいた。適応障害との診断も公表されている。

「体調には依然として波がある」(東宮職医師団)ものの、近年は公務を含む活動の幅を徐々に広げている。中でも13年にはオランダ国王の即位式出席のため、海外への公式訪問を果たし、14年の同国王夫妻来日時にも、宮中晩餐に出席した。いずれも11年ぶりだった。オランダ王室は06年、雅子さまの静養のために離宮を提供するなど、新天皇ご一家と家族ぐるみの交流を続けている。

18年には、15年ぶりに全国赤十字大会と秋の園遊会(全日程)に出られた。歴代皇后が続けている養蚕についても引き継がれることになっており、同年12月に公表した皇太子妃として最後となる誕生日の「ご感想」では、今後について「研鑽を積みながら努めてまいりたいと思っております」と述べられた。

愛子さま

新天皇ご夫妻の長女愛子さま=2018年8月11日、皇居・半蔵門(時事)
新天皇ご夫妻の長女愛子さま=2018年8月11日、皇居・半蔵門(時事)

愛子さまは、2001年生まれの17歳。皇太子ご夫妻の長女として生まれた。称号は敬宮で、お印はゴヨウツツジ。学習院女子高等科3学年に在学している。

学習院初等科、女子中等科、女子高等科と進学し、18年には英国への短期留学も経験した。

文・益田 美樹

バナー写真:那須御用邸へ静養に訪れ、散策される皇太子(当時)ご一家=2018年8月25日、栃木県那須町(時事)

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