混迷政局でかみしめるべき言葉:世界から9つの警句・格言
政治・外交- English
- 日本語
- 简体字
- 繁體字
- Français
- Español
- العربية
- Русский
石破茂首相の退陣表明、はっきりしない自民党総裁選挙の行方、与野党の連携の可能性いかん、物価高や労働生産性の低迷──それに加えて、ウクライナ戦争や中東紛争の長期化、そしてトランプ米政権のひとりよがりの体質、中国の台頭と国際社会の分断傾向などなど、政治的課題が国内、海外双方で山積している状況下で、まるでコップの中の嵐のように、小さなわが国で、政治の空白や政局の混迷が話題となっている。
しかし、こういう困難、複雑な状況こそ、ある意味では、脱皮と改革の好機でもあろう。その際、心に留めるべき警句、格言を、政党政治の伝統の長い英、米、仏などを中心に拾い集め、日本語に馴染むよう意訳してみた。
政治とカネの問題をいまだに引きずっている自民党が特に肝に銘じてほしい警句、格言は次の2つだ。
- およそ全ての政党は自らの嘘を飲みこむと死滅するものだ(John Arbuthnot=英国の政治家)
- 政治において真実は、誰かがそれを本当に必要とする時に、初めて明らかになる(Björnstjerne Björnson=ノルウェーの作家)
自民党総裁選に出馬した人びとに宛ててもよさそうな格言を2つ。
- 党に最も奉仕する人は、実は国に最も奉仕する人だ(Rutherford B. Hayes=第19代米国大統領)
- われわれは、過ちの責任を過去に負わせるのではなく、未来についての責任を自覚すべきである(John F. Kennedy=第35代米国大統領)
次期総裁、総理に向けた格言。
- プラトンは、モラルが政治を決めると言った。マキャヴェリは、政治はモラルには関係ないとした。しかし第3の道がある。それによれば、政治こそモラルを決めるということだ。(Charles-Marie-Photius Maurras=フランスの知識人)
野党の人びとが想起すべきと思われる格言。
- 政治について読み、観察すればするほど、どの党も他の党より悪いことがわかる(Will Rogers=米国の知識人)
ベテラン政治家の自戒と思われる2つの警句。
- 政治は戦争なみにエキサイティングだが、大変危険だ。戦争では1回しか死なないが、政治では何回も死ぬ。(Winston Churchill=英国首相)
- 政治は、実際には、憎悪の組織化である(Henry Adams=米国の作家)
国民が留意すべきと思われる格言。
- 政治においては響きの良い言葉は良心なき嘘である(George Sand=フランスの文学者)
こうした格言や警句をかみしめながら、国民一人ひとりとしては、政治や政治家への批判にとどまらず、自省も必要だろう。例えば、いわゆる自民党政治におけるカネの問題である。金権体質の排除や透明性の確保、あるいは、真実の解明が叫ばれるが、本当の真実が明らかになれば,実は政治家というより、国民(少なくとも自民党支持者)自身が、おカネにまみれているというのが真相かもしれないのである。
また、選挙結果の評価の問題もある。確かに数の増滅は、ある意味で民意のバロメーターであり重要だ。しかし、正論を打ち出し、数では負けても、主義主張では勝ったといえるのであれば、長期的には、国あるいは社会全体のためには役立とう。そこを見抜く目も国民は持たねばならないのではなかろうか。
バナー写真:PIXTA