紫蘇(シソ): 爽やかに香る和のハーブの代表格
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キリッとした爽やかな香りが特徴の「シソ」は和ハーブの代表格。年間通して1束100円前後の手軽な価格で購入できるので、薬味や彩りのために常備している家庭も多い。原産地は中国南部からミャンマーあたりとする説が有力だが、2500年前の縄文時代の土器からシソ類の実が発見されており、かなり古い時代から日本の食文化に根付いていると考えられる。
「シソ」といえば、多くの人が目に鮮やかなグリーンの葉を思い浮かべるが、「紫蘇」の漢字が示すように、実は紫(赤)が本来のシソ。古代中国で、カニにあたって瀕死の状態に陥った人に、「紫」色の薬草を煎じて飲ませたところ、生気が「蘇」ったことから「紫蘇」の名がついたという。
実際に、シソの香気成分の主成分であるベリルアルデヒドには殺菌・防腐作用や整腸作用、抗炎症作用があることが分かっている。刺身のツマとしてシソを使うのは彩りのためだけでなく、食あたりを避けるための暮らしの知恵。もちろん、冷蔵輸送や保存技術が発達した現代においては必須ではないが、添えられたシソに刺し身をのせてくるむようにして食べれば味のアクセントになる。
シソは、βカロテン、ビタミンC、ビタミンK、鉄、カルシウムなどを豊富に含む。食欲減退ぎみの夏場も、そうめんや冷ややっこの薬味として刻んだシソをたっぷりのせれば、爽やかな香りで食べやすく、ビタミン補給もできるのがうれしい。
ツマや薬味には「穂ジソ」と呼ばれる小さな実が密集したシソの穂が添えられていることがある。もちろん、この部分も食べられるので、軸を持ってしごくように実をはずしてプチプチとした食感や香りを楽しみたい。
通年販売されている青シソと違い、赤シソが出回るのは6月~7月頃に限られている。しかも、アクが強く、そのまま生食には向かない。なので、「赤シソは買ったことがないし、食べたこともない」と思うかもしれないが、赤シソも日本の食卓にはなくてはならない存在。
赤色の梅干しは、梅と一緒にあく抜きした赤シソを漬けこむことで鮮やかに発色する。漬けた後の赤シソを広げて天日でバリバリに乾燥させたものをすり鉢で細かくすりつぶしたものが「ゆかり」と呼ばれるふりかけ。ナスやキュウリを主体にした赤いお漬物「しば漬け」も赤シソで発色している。赤シソはご飯のお供としてよい仕事をしている。
バナー写真:PIXTA




