柚子(ゆず):清々しい香りは唯一無二! 高知特産の黄色い果実に海外からも熱視線
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柚子はミカン科の果実で、11月から収穫が始まり、年末年始にかけて多く出回る。黄色みの強い、やや凹凸のある果皮が特徴的だ。高知県が全国の生産量の5割を担い、徳島・愛媛を加えた四国3県で7割を生産する。ミカンのように果肉をそのまま食べることはほとんどなく、皮や果汁で料理に爽やかな香りを加える。
原産地の中国から奈良時代に渡来し、主に西日本で栽培されてきた。名前の由来は諸説あるが、柚子の中国名「柚」は日本語で「ゆ / ゆう」と音読みし、果汁は酸味が強く「柚の酢」と呼ばれることから、「ゆのす」が転じ「ゆず」になったとの説が有力。ちなみに学名もCitrus junos (シトラス ユーノス)。
さまざまな香気成分を含むが、中でも柚子特有の「ユズノン」が存在するのは表皮。そのため果汁だけでなく、皮も料理や菓子、調味料作りなどに使う。「柚子は捨てるところがない」と言われるゆえんだ。
「冬至に柚子湯に入ると風邪をひかない」として風呂の湯に柚子を浮かべる風習は、銭湯ができた江戸時代に始まったという。柚子の成分が湯に溶け込み血行が良くなるうえ、さわやかな香りはリラックスやリフレッシュに効果的。自宅の浴槽に浮かべて楽しむ家庭も多い。
「Kochi Yuzu」が海外で人気
伝統的な和食に香りを添える柚子。日本人にとっては古風なイメージすらあるのだが、今、フレンチやイタリアンのシェフからも注目され、欧米諸国への輸出が増加している。
きっかけを作ったのは一大産地である高知県北川村。国内需要が伸び悩む中で、海外に販路を求めようと、2011年にフランスでシェフやメディア関係者を招いて柚子の香りや酸味を生かした料理の賞味会を開催した。レモンやオレンジとは違う個性的な芳香は評判を呼び、パリのレストランでドレッシングやパスタのソース、デザートなどに柚子が使われるようになった。美食の街が取り入れたエキゾチックな素材に、他の国のシェフも注目しないはずがない。
当初は果汁での輸出だったが、翌12年に青果での輸出も始まり、「Kochi Yuzu」は世界に通じる食材となりつつある。
柚子が香る定番料理をこちらにまとめました
→ 「一片の皮を添えるだけで爽やかに香り、素材を引き立てる : 柚子のお料理コレクション」
取材・構成:イー・クラフト
バナー写真:北川村の柚子畑(提供:一般社団法人 高知県東部観光協議会)

