ダイコン:部位によって味わいが違う!使い分けて多彩に楽しめる庶民派野菜
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原産地は地中海沿岸から中央アジアとされ、日本には中国から伝わった。最古の書物である「古事記」や「日本書記」にも登場し、古くから食用としてきたことが分かっている。春の七草のひとつ「すずしろ」はダイコンの異名で、色が白いことに由来した名前だという。生のダイコンには消化を助ける酵素が含まれ、胃腸の動きを活発にし、胃もたれや二日酔いを防ぐといわれる。
江戸時代に栽培技術が進歩し、各地の土壌や用途に合うよう盛んに品種改良したことから、日本はダイコンの品種数が世界で最も多いといわれる。ただ、現在流通しているダイコンの9割以上は、葉の付け根が青みがかった「青首大根」。耐病性が高く、長さ30センチ・重さ1キロほどの手頃なサイズであることから、1980年代から全国に栽培が広がった。国内の5大産地は千葉県、北海道、青森県、鹿児島県、神奈川県と、実に北から南までどこでも栽培可能。
甘み増す冬ダイコン
品種改良と栽培技術の向上でダイコンは1年中出回るが、本来の旬は秋から冬にかけて。太々と育った冬ダイコンは甘みが増して、じっくりと煮物にしても、シャキシャキとしたサラダにしてもおいしい。
「冬ダイコンは甘みが増して」と書いたが、夏は害虫から身を守るために辛味が強めなのだという。また、部位によっても味わいが異なる。水分量が多く、甘みの強い上の方はサラダや野菜スティックなど生食向き。バランスの取れた中央部分は、煮物やステーキなどメインのおかずに。下の方は漬物やみそ汁の具材など細かく切って使うのが理にかなう。
大根おろしは、上の方を使えばマイルドな味わい。サンマなど脂の多い焼き魚に添えてさっぱり食べるには辛味が強い先端の方という使い分けもできれば上級者。
ちなみに、“ダイコン大国”の日本には特大サイズの品種があり、ギネスブック認定されている。世界一重いダイコンは、鹿児島県の「桜島大根」。通常で10キログラム、大きい物では20~30キロにもなる。また、世界一長いダイコンは愛知県の「守口大根」で、通常1.2メートル程度、長いと2メートル近くまで成長する。

写真左から、桜島大根(鹿児島県観光連盟提供)、守口大根(JA愛知北提供)
旬を迎えたダイコン料理をまとめました
→ 「コトコト煮物のおいしい季節 : 大根のお料理コレクション」
【資料】
- 独立行政法人農畜産業振興機構「今月の野菜 : 大根」
- JAグループ「秋冬の旬野菜 大根」
取材・構成:イー・クラフト
バナー写真:PIXTA
