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コトコト煮物のおいしい季節:ダイコンのお料理コレクション

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ダイコンは食あたりを起こさないことから、当たらない演者を「大根役者」というが、どうしてどうして。1本丸ごと買い求めても、メインに脇役にとマルチに活躍。

食材についてはこちら
→「ダイコン:部位によって味わいが違う!使い分けて多彩に楽しめる庶民派野菜

ふろふき大根

厚切りにしたダイコンを軟らかく煮て、みそだれをかけて食べる、冬らしい料理の一つ。名前の由来は、熱いのでふうふうと冷まして食べる様子が、蒸し風呂で体に息を吹きかけるさまと似ていたからなど、諸説ある。

ブリ大根

冬の定番煮物。ブリのうまみが染み込んだダイコンは絶品。切り身でなく、あらを有効活用することもある。

(PIXTA)
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おでん

出汁(だし)の中で、練り物を中心にさまざまな具材を煮込んだ、体の温まる鍋料理。中でも、口の中で崩れるほど軟らかく煮たダイコンは人気が高い。

(PIXTA)
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刺し身のツマ

ごく細く切ったダイコン=ツマを刺し身に添えるようになったのは、江戸時代からだそう。冷蔵庫の無い時代、傷みやすい生魚と殺菌・解毒作用のあるダイコンを一緒に食べることで食あたりを防いだ。魚から出た水分を吸収する、刺し身の見た目を引き立てる役割も兼ねる。

(PIXTA)
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大根おろし

生のダイコンを、おろし金ですりおろしたもの。葉に近い青首部分を使えばマイルドな味わいで、先端に近づくほど辛みが増す。脂ののった魚や天ぷらだけでなく、和風のステーキやハンバーグにも添えられる。口の中をさっぱりさせ、ダイコンに含まれる消化酵素が胃もたれを防ぐ。

(フォトAC)
(フォトAC)

なめこおろし / しらすおろし

大根おろしは、なめこやしらすと相性がよく、それだけで副菜にもなれば、そばやうどんの具材にもなる。ちなみに「カイワレ大根」は、ダイコンの新芽。料理にピリッとした辛みを添える。

なめこおろしそば(PIXTA)
なめこおろしそば(PIXTA)

また、ふんわりとおろしたダイコンをたっぷり入れた煮物や鍋物は、その見た目から「みぞれ煮」「みぞれ鍋」あるいは「雪見鍋」など、冬らしく風雅な名前で呼ばれる。

たくわんなど漬物

干したダイコンを1本丸ごと、塩や米ぬかなどに漬け込んだ漬物の、一般的な呼び名。「たくあん」ともいう。薄切りにし、ご飯のお供や酒のさかなとして食べる。江戸時代の僧・沢庵(たくあん)の考案とされるが、由来には諸説あり。ダイコンの漬物は、秋田県の「いぶりがっこ」、東京都の「べったら漬け」など、全国各地にそれぞれの味がある。

たくわんなどへの加工用に大根を丸干しする(写真提供:宮崎県観光協会)
たくわんなどへの加工用に大根を丸干しする(写真提供:宮崎県観光協会)

(左から)一般的なたくわん、秋田県の「いぶりがっこ」(いずれもPIXTA)、東京都の「べったら漬け」(写真提供:農林水産省「うちの郷土料理」)
(左から)一般的なたくわん、秋田県の「いぶりがっこ」(いずれもPIXTA)、東京都の「べったら漬け」(写真提供:農林水産省「うちの郷土料理」)

切り干し大根煮

乾物として流通する「切り干し大根」。生産量は、宮崎県が全国シェアの約半分を占める。油揚げやさつま揚げ、ニンジンなどと炒めて甘辛く煮たおかずは、和風の常備菜として安定した人気がある。

切り干し大根の乾燥工程(写真提供:宮崎県観光協会)
切り干し大根の乾燥工程(写真提供:宮崎県観光協会)

(フォトAC)
(フォトAC)

調査・構成:イー・クラフト

バナー写真:ふろふき大根(PIXTA)

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