知ればもっとおいしくなる にっぽん食べ物図鑑

山椒(サンショウ):清涼感のある香りと鋭い辛さにしびれる

文化 暮らし

「山椒は小粒でもぴりりと辛い」ということわざ通り、ほんの少量で強い存在感。

日本原産の香辛料

山椒は日本を原産とするミカン科の低木で、主に実を香辛料として使う。縄文時代の土器から実が発見されたほど、古くから食用とされてきた。「椒」は「歯で噛んで顔をしかめるほど辛い」「よい香りがするもの」の意味。

半日陰の野山に自生し、実だけでなく、若い葉も食材となる。しびれるような辛さは、辛み成分のサンショオールによるもの。ミカン科ならではの清涼感ある香りが料理に爽やかさを添える。

新芽は「木の芽」と呼ばれ、春から夏にかけて、和食に香りと彩りを添える役割を持つ。

木の芽(フォトAC)
木の芽(フォトAC)

初夏に収穫される鮮やかな緑色の「実山椒(青山椒)」は、食材として粒状のまま使うことが多い。

夏から秋にかけて、熟して黄みがかってきた実を収穫し、乾燥させる。黒い種を取り除き、果皮すりつぶしてを粉末状にしたものが、「粉山椒」。

粉山椒(PIXTA)
粉山椒(PIXTA)

山椒の花は「花山椒」の名で食用となるが、非常に希少なため高級食材として扱われる。ちなみに似た名前の香辛料「花椒(ホアジャオ)」は中国原産で、日本の山椒とは種類が異なる。

欧米の料理界から好反応

和歌山県は山椒の一大産地で、国内生産量の6割を担う。ブドウのように房状に実をつける品種「ぶどう山椒」が特産だ。

ぶどう山椒(写真提供:和歌山県観光連盟)
ぶどう山椒(写真提供:和歌山県観光連盟)

近年、肉料理や乳製品との相性の良さが注目を浴び、欧州の一流レストランシェフやスパイス業者が生産農家を訪れて山椒を買い付けるなど、輸出取引が増加。日本の山椒=Japanese pepperの認知度と評価が、海外で高まりつつある。

意外なマッチングも?山椒が使われるお料理をまとめました
→「小粒でぴりり!山椒のお料理コレクション

取材・構成:イー・クラフト

バナー写真:PIXTA

和食 食材 香辛料 スパイス