代理婚活・マチアプ・結婚相談所、婚活ビジネスは大盛況~でも「お相手」が見つからない迷える親と未婚者たち

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未婚化、晩婚化が進む中で、マッチングアプリやネット系結婚情報サービスなど、さまざまな出会いの場が提供されている。だが、恋愛経験の乏しい未婚者も多く、結婚に至るまでの道のりは険しい。30代・未婚の息子を持つ筆者が、婚活ビジネスの実態を探った。

親の不安をターゲットにした代理婚活

真面目で優しい。堅実で努力家。相応の学歴があり、安定した仕事にも就いている。それなのに「なぜか結婚できないウチの子」に悩む親は少なくない。そもそも30代前半(30~34歳)の未婚率は男性51.8%、女性38.5%(2020年「国勢調査」)。男性では既婚者より未婚者のほうが多数派だ。

むろん結婚するかしないかは個人の自由、結婚したからといって幸せが約束されはしない。それでも「このままひとりでいたら将来が心配」とか、「跡取りがいなければこの家はどうなる?」とか、そんな不安を抱く親たちをターゲットにした婚活ビジネスが盛況だ。

たとえば未婚の子を持つ親同士が交流し、当人に代わって見合いや交際のきっかけを作る「代理婚活」は全国各地で催され、親自らが子どもの結婚相手を探そうと躍起になっている。

「身上書」を手に「お相手候補」の親と交渉

私自身、30代の未婚の息子を持つ母親として、2022年以降、取材も兼ねて3回の代理婚活を体験した。

初回は都心のホテルを会場に参加費は1万6000円。当時36歳だった長男の身長や居住地、職業や学歴、趣味、親から見た子どもの長所などを記した参加申込書を提出すると、交流会の1週間前に「リスト」が届いた。参加者の未婚の息子、あるいは娘の情報が記載され、あらかじめ「お相手」候補の目星をつけた上で臨むのだ。

いざ当日。息子や娘のリスト番号とひもづけられた番号札を胸から下げた親たちは、およそ100人。より詳細な子どものプロフィールや家族構成を記した「身上書」を手に、「お相手」候補の親と交渉する。

一連の行動の結果、私は代理婚活の厳しさを痛感した。「息子さんの年収は?」「勤務先は上場企業ですか?」などと尋ねられ、人柄よりも「カネ」や「職業」といった条件が優先される。一方で娘を持つ母親に話を聞けば、「女性は顔と若さですから…」。そんな嘆息が返ってくる。

さらにある父親は、身上書の家族欄の情報、つまり親兄弟の学歴や職業が「大事」だと言った。

息子や娘の経歴は似たり寄ったり。「真面目で優しい」「安定した仕事に就いている」、そんな男女の中から特定の人を絞るとき、「どういう家族がいるのか」が付加価値になり、差別化につながるというわけだ。

2回目、3回目の代理婚活も同様で、それぞれの親の期待や希望が先走っていた。

150万円かけて婚活しても…

わざわざ親が出しゃばらず、当の未婚男女が婚活すればいいはずだ、そう考える人も多いだろう。

実際、マッチングアプリや結婚相談所、行政の婚活支援などさまざまな出会いの場はある。我が家の長男も34歳からの1年半、大手結婚相談所で婚活していた。

専用アプリで毎日のように「お相手」候補を検索し、1回ごとに1万1000円の「お見合い料」を支払って一流ホテルのラウンジで女性と会う。ちなみに「お見合い料」は男性のみに課され、お茶代も男性持ちという旧態依然のルールだ。

双方が合意すれば「仮交際」なるお試しのようなデート、うまくいけば1対1の「真剣交際」、その先に「成婚」という流れだが、現実はそう甘くはない。

息子は20人ほどの女性と見合いや仮交際をしたものの成果はなかった。入会金や月会費、デート代など総額150万円を費やしながら、「俺には婚活は無理」と諦めてしまった。

当時の私は婚活サービスの内情を知らぬまま、「いったいなぜ失敗続きなのか」「どうしてウチの子ではダメなのか」、そんな疑問を抱いていた。そこで代理婚活を手始めに、マッチングアプリや結婚相談所、行政の婚活支援の実態などを取材することにした。

マッチングアプリが生むストレス

まずは婚活のスタンダートともいえるマッチンクアプリ。結婚を前提に真剣な出会いを求めたり、気楽なデート相手を見つけたり、再婚者向けだったりとアプリごとに特徴があるが、システムとしては共通項が多い。自分のプロフィールや顔写真を登録した上で、希望する年齢や年収、職業といった条件を設定して「お相手」候補を検索する。

気に入った人には「いいね」などのアクションを送り、相手も同じように返すとマッチング成立、1対1のメッセージ交換ができる仕組みだ。

男性は月に数千円、女性は無料が一般的。スマホさえあればいつでも、どこでも、そして数万人規模の会員から好みの人を選べるが、逆に自分も多数の中から選ばれなければならない。

もっといい相手がいるかもしれないという期待、今度もダメではないかといった不安が交錯し、ストレスを抱える人は少なくない。出会いの確率を上げるためのオプションサービスに多額の課金をしたり、性行為目的や投資詐欺などのトラブルに見舞われたりするケースもある。

誤解を招く結婚相談所の「成婚率」

手軽さの一方でリスクのあるマッチングアプリを敬遠し、結婚相談所を利用する未婚者も増えている。入会には卒業証明書や所得証明書、行政機関発行の独身証明書などが必要とされるため、「身元保証」という点では優れている。結婚カウンセラーの手厚いサポートを売りにしたり、「成婚率」の高さをアピールしたりする事業者も数多い。

とはいえ結婚相談所が示す成婚率には、統一された計算方法が存在しない。要は事業者ごとに都合よく算出できる上、そもそも「成婚」という言葉も誤解を生じさせるものだ。

見合いの日を起点に交際期間が3カ月になったら成婚とみなす事業者もあれば、宿泊を伴うデートを成婚と規定する事業者もある。成婚=入籍や挙式という一般的なイメージからは程遠いが、それでいて数十万円の「成婚料」を請求されたりする。

こんなふうに結婚相談所での婚活は、事業者が設けるルールや料金体系が複雑だ。自分なりに努力して結婚できればいいが、実際に入籍や挙式に至った人はどれほどいるのだろうか。

前述のように事業者が公表する数字は「自己申告」のため、ここでは信頼性の高いデータを取り上げたい。20年前の古い調査となるが、経済産業省の「少子化時代の結婚関連産業の在り方に関する調査研究 資料編」(2006年)では、結婚相談所利用者の1年間の成婚率が男性8.4%、女性10.1%と報告されている。つまり結婚相談所で婚活した人の約9割は「失敗」する。しかも、「成婚者」のうち実際に結婚したのかを厳密に把握できない場合は、「事業者の主観または推測に依っている」と注釈があるので、この数字にも、一部「みなし」が含まれているのだ。

もう一つ、民間調査機関の近年のデータを見てみる。「リクルートブライダル総研」の「婚活実態調査2024」によれば、23年の婚姻者のうち何らかの婚活サービスを利用して結婚したとの回答は15.3% 。このうち、結婚相談所を通じて結婚した人たちは2.4%だ。「成婚率」が特に高いとは言い難い。

自治体の婚活支援の成果は

近年急速に拡大しているのが「官製婚活」だ。未婚男女を結婚させることが少子化対策や人口減少対策になるとの考えから、政府は2013年度から自治体による婚活支援などを対象とした交付金を支給している。13年度の予算規模は30億円だったが、25年度は93億円と3倍に増えている。

各自治体では未婚の住民に対し、結婚相談所での婚活費用を助成したり、独自のマッチングシステムを提供したりしている。たとえば東京都では「TOKYO縁結び」なる婚活支援を実施、マッチングアプリの利便性と結婚相談所のサポート体制をミックスさせたような形態だ。

AIによる相性診断や専門スタッフによる相談事業など充実した内容ながら、登録料は1万1000円 (2年間有効)と安価。正規の費用に足りない分を税金で補てんしているからだ。要は「協力事業者=民間の結婚相談事業者」への支払いに税金を充てている。

肝心の成果はどうか。2025年11月時点での登録者数(約3万人)のうち、1対1の真剣交際に進んだ人が1.57%、“成婚率”(=この場合は、結婚を前提に交際することが決まり退会)は0.4%に過ぎない。果たして、本当に少子化対策として有効なのだろうか。

恋愛・性的経験乏しい未婚者

マッチングアプリや結婚相談所、行政の婚活支援などは「出会い」の場にはなる。一方で結婚に至りにくい現実を考えたとき、そこにはいくつもの「壁」があると感じる。

前述のように年齢や年収、職業といった選別だけでなく、そもそも恋愛や性的体験に臆する人も多い。内閣府の「男女共同参画白書」(2022年)によると、20~39歳の未婚者のうち、男性の約3人に1人、女性の約4人に1人は「恋愛経験ゼロ」だ。

また国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」(調査年は2021年)では、30代前半の未婚男性の4割近く、女性の5割近くは「性的体験なし」と報告されている。

さまざまな婚活のツールがあっても、恋愛や性的体験に乏しい未婚者にとって、多くの候補者の中から誰かを選ぶのも、あるいは多くの競争相手の中から選ばれるのも至難の業だ。しかも、婚活にはお金も時間もかかる。結婚したくても、どうしたらいいか分からず、人生設計を描けない未婚者が多いのではないか。

こども家庭庁が2025年に実施した調査では、未婚者の53.5%が「すぐにでも結婚したい」「いずれ結婚したい」と答えた。一方、24年の調査では、未婚者の約7割が、結婚相手を見つけたくても、「具体的に何をすればいいのか分からない」(67%)、「見つけたくても見つけられると思えない」(66%)と回答。「願望」はあっても、諦めや自信のなさが顕著だ。

未婚の子を持つ親も、迷いの中にいる。「子どもを結婚させるのが親の務めだ」と責められ、自分自身も「私の育て方が悪かったのか」と思い悩む。代理婚活は単なるエゴや期待にとどまらず、「親の責任」という呪縛から生じる行動でもあるだろう。

結婚という人生の大きな岐路を前に、未婚男女も、その親たちも、混迷と葛藤の中にいる。私自身、未婚のわが子に対する不安がないと言えばうそになる。「親の務めを果たしていない」焦りと葛藤も、そう簡単には消せない。それでも、仮に息子が結婚しないとしても、「自分なりの幸せがある」と胸を張れる人生を自ら選ぶのなら、その選択を誇りに思える親でありたい。

バナー写真:PIXTA

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