無傷の12連勝!男子バレー日本代表、国際大会を首位突破した強さの訳は?
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躍進続く日本男子代表
“12戦全勝”という響きは爽快だ。
バレーボールのネーションズリーグ2026予選ラウンドにおいて、男子日本代表は大会史上初となる12戦全勝で、1位での決勝ラウンド進出を決めた。
日本が突然強くなったわけではない。2023年の同大会でも予選ラウンドで10連勝し、銅メダルを獲得。24年には銀メダルをつかんでいる。その年のパリ五輪では惜しくも準々決勝で敗退したが、着実に力をつけ、国際大会でのメダル争いはもはや珍しくない。
ただ、移行期だった昨年は少々つまずいた。24年パリ五輪までは、フィリップ・ブランがコーチ時代も含めて8年間指揮を執ったが、五輪後、ロラン・ティリが新監督に就任。新体制1年目の昨年は、練習方法やスケジューリング、戦術などの面でまだ選手たちは馴染めていなかった。
また、昨年はパリ五輪の主力だったメンバーが何人か代表を休養し、経験の浅い選手が多く起用された。それは世代交代のために必要な過程だ。その中でもネーションズリーグは決勝ラウンドに進出したが、9月の世界選手権ではポテンシャルの高い相手の圧力を押し返せず、予選ラウンド敗退に終わっていた。
今年は監督就任2年目となったティリの采配に選手が慣れたことに加え、選手からの提案を監督が採用するなど、スムーズに試合に臨めている。
今年はパリ五輪メンバーの西田有志や山内晶大が戻ってきたことも大きい。昨年、オポジットのポジションは宮浦健人に心身両面で重い負担がかかっていたが、今年は西田と2人で力を合わせる形となり、宮浦は「気持ち的に楽になった」と力を発揮している。
目を見張る各選手の成長
さらに、2年前のパリ五輪から上積みされているのが個々の成長だ。髙橋藍はこの1年で体脂肪率を12%弱から8%に落としたことで、体のキレやジャンプ力が増した。今回のネーションズリーグでは全体5位の208ポイントを叩き出し、チームをけん引している。

男子予選ラウンド・日本−カナダ。得意の背面スパイクを繰り出す日本・髙橋藍(左)= 2026年7月16日、Asueアリーナ大阪(産経新聞:撮影・泰道光司)
2年前に比べてレギュラーと控えメンバーの力の差も縮まった。フルセットの接戦となったアメリカ戦やカナダ戦は、バックアップメンバーが流れを変えて勝利をもたらした。
アウトサイドの大塚達宣はパリ五輪後、イタリア・セリエAのミラノでプレーし、大きく成長した。富田将馬は守備の安定感だけでなく攻撃力も磨き、出場すれば必ず結果を残す。チーム最年少22歳の甲斐優斗は身長2メートルの高さを生かした攻撃を武器に、今季初先発となったベルギー戦で最多得点を奪った。
ミドルブロッカーではエバデダン・ラリーが軸となり、新戦力の西本圭吾はゲームチェンジャーの役割を果たす。世界トップレベルの山本智大、小川智大がそろうリベロは言うまでもなく、各ポジションの競争が激しくなり、層が厚くなっている。
そして今年、久しぶりに代表復帰したベテランセッターの深津英臣が高いレベルの個を生かし、コートに安定感をもたらす重要な鍵を握る。深津はかつて日本代表で正セッターを務めた。現在のキャプテン・石川祐希が日本代表にデビューした2014年からの数年は、深津のスパイカーを生かす正確なトスが石川たち若手をブレイクに導いた。18年のネーションズリーグを最後に日本代表から遠ざかっていたが、今年7年ぶりに36歳でA代表に再選出された。
「このレベルの舞台では第一に技術がないと、メンタルだけでは勝てない。自分が以前代表に入っていた時は、気持ちでやろうとしすぎていた。でも今、彼ら(スパイカー陣)は技術もあるし精神的にも強いから、自分が磨いてきた技術をしっかりチームにマッチさせられるように考えています」
深津が磨いてきた技術とは、「トスを上げるまでの足の運び方や体の使い方」だという。参考にしたのは、マイカ・クリステンソン(米国代表)、ルチアノ・デセッコ(アルゼンチン代表)、関田誠大、女子元日本代表の竹下佳江といった世界的なセッターたち。「自分が理想とするセッターの映像を研究して、試行錯誤してきました」と明かす。

男子予選ラウンド・日本−イタリア。第2セットで得点を決め、喜ぶ日本代表。写真右はセッターの深津英臣= 2026年7月15日、Asueアリーナ大阪(産経新聞:撮影・泰道光司)
地道に積み重ねてきたものがあるから世界を相手に余裕を持ってコートに立ち、それが今、周囲に落ち着きを与えている。
ロス五輪出場権かけて勢い加速
とはいえ、12連勝に満足して浮き足立つ選手はいない。今秋、2028年ロサンゼルス五輪の出場権をかけた各大陸予選が行われる。そのため、各チームはそこに照準を合わせ、今回のネーションズリーグ予選ラウンドではベストメンバーが揃っていない相手もいた。しかし、29日に始まる決勝ラウンドからは、各チームともギアを上げてくるだろう。
それは日本も同じ。石川は「今年の一番の目標はアジア選手権で五輪切符を獲得すること」と言い続けてきた。石川自身もクラブシーズン中に右膝にけがをしていたため、ギアを上げるのはこれから。各チームが本気モードで臨む決勝ラウンドでは、日本もさらに一段高いレベルに引き上げてくるに違いない。
バナー写真:男子予選ラウンド・日本−イタリア。第3セットでポイントを奪い、喜ぶ石川祐希(左)と髙橋藍=2026年7月15日、 Asueアリーナ大阪(時事)