今週の歴史を振り返る:This Week in Japanese History

今週の歴史を振り返る:3月23~29日

3月23日

戦後を代表する映画監督、黒澤明が誕生

1910(明治43)年 戦後の日本映画を代表する黒澤明が東京府荏原郡(現・品川区)に生まれる。一時は画家を目指す。画学校で洋画を学び、28年二科展に入選。同年造形美術研究所(のちのプロレタリア美術研究所)に入る。29年、日本プロレタリア美術家同盟に参加した。同年、第2回プロレタリア美術大展覧会に政治色の強い5作品を出品した。黒澤の作品に時折、生硬なヒューマニズムが顔を出すのは、こうした経験が背後にあるとの見方もある。36(昭和11)年、画業に見切りをつけ、P.C.L.映画製作所(後に東宝と合併)の助監督募集に応募し、100倍の難関を突破して入社した。戦後の50(昭和25)年に大映で撮った『羅生門』が、翌年のベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。日本を代表する監督の一人となる。

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3月24日

上海で列車衝突、修学旅行生27人が犠牲

1988(昭和63)年 中国上海市近郊で南京発杭州行きの急行列車311便が、長沙発上海行き急行列車と衝突。修学旅行で311便に乗っていた私立・高知学芸中学高等学校(高知市)の高1生一行193人のうち生徒27人、教諭1人の計28人が死亡した。311便の運転士が信号を見落としたのが事故の原因とされたが、他にもさまざまな要因が重なったといわれる。遺族への補償問題で日中両国の交渉は難航した。当時は両国間の経済格差が大きかったため、補償額で折り合わなかった。

3月25日

佐世保にハウステンボスが開園

1992(平成4)年 17世紀のオランダの町並みを模して造られたテーマパーク「ハウステンボス」が長崎県佐世保市に開園した。70年代に造成され、売れ残っていた工業団地に、地元の実業家が2200億円を投じて建設。バブル期に計画され、バブル崩壊後の開園とあって、巨額投資が重荷になり赤字経営が続いた。2003(平成15)年に経営主体が会社更生法の適用を申請。大手証券系投資会社が再建に乗り出したが、08年のリーマン・ショックによる金融危機に遭遇し挫折。再建はあらためて旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の手に委ねられた。金融機関による債権放棄、九州経済界の支援もあり、新たなアトラクションを導入するなどして集客力を強化。経営は回復軌道に乗った。

3月26日

日本最大の多摩ニュータウン 入居始まる

1971(昭和46)年 東京都西部の多摩ニュータウンで第1次入居が開始された。八王子、多摩、町田、稲城の4市にまたがる30平方キロの丘陵で66(昭和41)年から宅地造成。開発主体は都、住宅・都市整備公団(現・都市再生機構)、都住宅供給公社の3者。新宿にターミナルを置く小田急電鉄、京王電鉄がニュータウンに乗り入れる新路線を開設した。また、両路線の駅がある多摩センターから北進する多摩都市モノレールも開業。日本最大のニュータウンとして発展したが、現在は人口の高齢化に直面している。

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3月27日

日本が国際連盟から脱退

1933(昭和8)年 日本が国際連盟に対し正式に脱退を通告した。第1次世界大戦後に発足した国際連盟に日本は当初から加盟。常任理事国として、国際紛争の平和的解決や軍備縮小などを推進する立場にあった。その日本が脱退したのは、満州(中国東北部)への進出をめぐる連盟各国との対立が原因。2月24日の国際連盟総会で満州事変以降の日本の責任を問い、満州国設立を認めないとの勧告案が示された。採決の結果は、賛成42カ国、反対は日本のみだった。松岡洋右全権代表はこの勧告を拒否して退場。日本は1カ月後に脱退通告し、日中戦争、太平洋戦争への道を突き進む。

経営危機の日産、仏ルノー傘下入り

1999(平成11)年 経営危機に陥った日産自動車がフランスのルノーと資本提携。ルノーの傘下入りで経営再建を図ることとなった。ルノーは日産に6430億円(50億ユーロ)を出資し、ルノーが日産株式36.8%(現在43.4%)、日産ディーゼル工業の株式22.5%(同0%)を取得。ルノーの副社長だったカルロス・ゴーンが日産の最高経営責任者(CEO)に送り込まれた。ゴーンCEOは「日産リバイバルプラン」を掲げ、工場の集約化や部品購入先の絞り込みなど徹底したリストラを進めた。日産の収益力は急速に回復し、事業規模、利益でルノーを大きく上回ってきた。

3月28日

千鳥ケ淵戦没者墓苑が開苑

1959(昭和34)年 国が建設していた国立千鳥ケ淵戦没者墓苑(東京都千代田区三番町)が開苑した。同墓苑は日中・太平洋戦争時、海外で死亡し身元不明や引き取り手のない遺骨を納める墓地として整備された。「無名戦没者の墓」であるとともに、大戦で亡くなった全戦没者の慰霊追悼のための施設でもある。この日、昭和天皇、皇后両陛下が出席し初の拝礼式が執り行われた。現在、軍人・軍属・一般邦人を含む37万69柱の遺骨が安置されている。政教分離の原則により特定の宗教宗派に属さない施設とされ、国の行う慰霊祭、拝礼式などの行事も無宗教で行われる。

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3月29日

平和安全2法を施行

2016(平成28)年 国際情勢の変化に対応するための平和安全(安全保障)関連2法が施行された。同法は、自衛隊法や周辺事態法などの改正法を束ねた平和安全法制整備法と、新たに制定された国際平和支援法の2法で構成される。集団的自衛権の行使を可能にするなどが盛り込まれ、戦後日本の安全保障政策が大幅に見直された。具体的には、北朝鮮のミサイル警戒にあたる米軍のイージス艦に燃料を供給したり、海上自衛隊が米艦を護衛したりできるようになった。平和維持活動(PKO)では駆けつけ警護などの任務が認められ、武器使用制限を緩和した。

安倍内閣が2015年に国会提出。「憲法解釈を変更し集団自衛権の行使に道を開く」など一部野党が反対したが、自民・公明両党、新党改革などの賛成多数で15年9月に成立・公布された。

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バナー写真:撮影中の黒澤明監督=1992年6月(時事)

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