今週の歴史を振り返る:This Week in Japanese History

今週の歴史を振り返る:4月20~26日

4月20日

朝日新聞が自作自撮、サンゴ報道

1989(平成元)年 朝日新聞で沖縄・西表島のサンゴへの落書きが報道された。この日の夕刊1面に、カラー写真とともに「サンゴ汚したK・Yってだれだ」との見出しで、心無い日本人ダイバーによって傷つけられた、と非難した。ところが、現地のダイバーから疑念が示された。朝日は5月16日の朝刊で「記者が撮影効果をあげるため、うっすらと残っていた部分をストロボの柄でこすった」と弁明。同20日の朝刊でやっと、無傷のサンゴを写真部員が傷つけたことを認めた。

4月21日

任天堂、ゲームボーイを発売

1989(平成元)年 任天堂が携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」を発売。「スーパーマリオランド」「テトリス」「ポケットモンスター」などのソフトで人気を呼んだ。2000(平成12)年、累計販売台数1億台を突破。家庭で遊ぶ据え置き型が普通だったゲーム機に対し、持ち歩きできるゲーム機の登場は、オーディオ分野のウォークマンと同様、画期的だった。

4月22日

ペルー大使館の日本人人質 救出成功

1997(平成9)年 ペルー日本大使公邸占拠事件で、大使公邸に軍・警察から成る特殊部隊が突入。立てこもっていたテロリスト14人は全員射殺。隊員の軍人2人とペルーの最高裁判事1人が死亡。日本人人質71人は全員無事に解放された。事件は前年12月17日、天皇誕生日祝賀レセプションが行われていた同公邸に武装したテロリストが侵入し、約600人を人質に取って籠城。人質は順次、解放されたが、日系のアルベルト・フジモリ大統領がテロリストの交渉に応じず、にらみ合いが長期化した。同大統領が強行策に踏み切り、突入用のトンネルを掘るなどして救出作戦は成功した。

4月23日

1ドル=360円の固定レート決定

1949(昭和24)年 連合国軍総司令部(GHQ)の管理下で再開された貿易は、品目ごとに異なる為替レートが設定されていた。この日、GHQの指令に基づく大蔵省告示により、4月25日から1ドル=360円の単一・固定レートの実施が決まった。GHQ経済顧問のジョセフ・ドッジが打ち出した経済9原則(ドッジ・ライン)に沿った措置。1ドル=320~340円が実勢とされたが、輸出を拡大させ日本の経済を自立させるには甘めのレートでよいと判断した。おかげで、変動相場制に移行する1971(昭和46)年まで、日本経済は輸出をリード役に高度成長をおう歌した。

4月24日

吉田松陰、密航に失敗し下獄

1854年(嘉永7年3月27日) 吉田松陰が、日米和親条約締結後伊豆・下田沖に停泊中の黒船で密航を企てるが失敗。松陰はペリー提督の旗艦に乗り込み、米国への同行を懇願した。ペリーは、幕府との信義上できないと拒否。松陰は翌日、幕吏に捕縛された。西洋見聞の重要性を説き密航のきっかけをつくったとして、松陰の師で蘭学者の佐久間象山も連座。松陰は国元の萩(現山口県萩市)に送られ、獄に幽閉される。翌年出獄し、松下村塾を開いて高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文らを育てた。

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4月25日

モスクワ五輪ボイコットを政治決定

1980(昭和55)年 政府が日本オリンピック委員会 (JOC) に対し、80年夏開催のモスクワ五輪に参加しないよう通告。JOCは5月24日、臨時総会を開き賛成多数で五輪不参加を決めた。ソ連(現ロシア)が前年12月、アフガニスタンに軍事侵攻したことに抗議して、米国のカーター大統領がモスクワ大会のボイコットを西側諸国に呼びかけ、日本政府もそれに追随した。ほとんどの競技で五輪代表が決まっており、優勝確実といわれた選手らが参加を訴えたが、財源を政府に頼るJOCは出場断念を余儀なくされた。7月19日から8月3日まで開催された大会には88カ国が参加。米国、日本のほか、西ヨーロッパ諸国など66カ国がボイコットした。

JR福知山線脱線事故 乗客106人が死亡

2005(平成17)年 兵庫県尼崎市のJR福知山線(宝塚線)で脱線事故が発生した。朝のラッシュアワー時、通勤・通学客を乗せた上り電車が尼崎駅手前の右カーブに、制限時速70キロを大幅に超える116キロで進入。7両編成の先頭から5両目までの車両が脱線し、1・2両目車両が進行方向左側のマンションに激突した。運転士1人、乗客106人の計107人が死亡し、562人が負傷する大惨事となった。事故の背景として、利便性・高速化を重視するJR西日本の営業体質が指摘された。事故後は「ゆとりダイヤ」を打ち出し、安全対策投資にも力を入れる方針転換を行った。

4月26日

海自艦艇、機雷除去のためペルシャ湾に出航

1991(平成3)年 湾岸戦争でイラクがクウェート沖のペルシャ湾に敷設した約1200個の機雷を除去するため、政府が自衛隊掃海部隊派遣を決定。この日、ペルシャ湾掃海部隊が出航した。機雷は同湾を航行する船舶にとって重大な脅威となり、特に輸入原油の7割を中東に依存している日本にとっては看過できない問題となった。このため政府は4月24日、安全保障会議と閣議で、自衛隊法第99条(機雷等の除去)に基づく措置として決定。2日後に掃海艇や補給艦などが各艦艇の母港を出港した。自衛隊にとって初の海外任務だった。

バナー写真:快速電車が脱線しマンションに衝突したJR福知山線の事故現場=2005年4月25日(時事)

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