【4K動画】北前船の船主邸宅が残る:石川・加賀「橋立地区」

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石川県加賀市の橋立地区は、江戸時代後半から明治前半にかけて、日本海を主要航路とする北前船の船主集落として栄えた。帆船の北前船は当時唯一と言っても過言でない大量輸送手段だった。その所有者や船頭らが海運事業で得た富をつぎ込み、競うようにして同地区に広壮な邸宅を構えた。これらの家屋が立ち並ぶエリアは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれ、景観が保たれている。北前船主の代表格である酒谷(さかや)長兵平が建てた屋敷は「北前船の里資料館」として公開されている。大広間の巨大な松のはり、秋田杉の一枚板を使った板戸などに栄華の跡を見ることができる。

北前船(きたまえぶね) 北陸や奥羽の産品を日本海・瀬戸内海を経て商都大坂まで輸送する木造帆船および、その航路を指す言葉。江戸時代から明治初期まで大量の物資を輸送する主要交通路として活用された。船主は単に海運業にとどまらず、自己資金でコメなどの物資を買い集め、上方で売りさばく商社的活動も行った。江戸後期には北海道にまで航路を拡大した。酒、塩、雑貨を上方で仕入れ、復路の寄港地で販売するなどして、巨万の富を蓄積。北陸などでは豪商とうたわれ、藩政に影響を及ぼす業者も台頭した。維新後に欧米から導入された蒸気船や鉄道に物流機能を奪われ、明治中期以降は衰退の道をたどった。

映像:金沢ケーブル「なぜだか金澤~見つけて加賀・能登」より

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