石川・片山津温泉：加賀の三温泉（2）【動画】

石川県の山代・山中・片山津という加賀三温泉の中で、片山津温泉は比較的歴史が浅い。

片山津温泉街は柴山潟の南西岸にある

1653年、加賀の支藩であった大聖寺藩2代目の前田利明が、鷹狩りで「柴山潟（しばやまがた）」に訪れた際に、水面近くにいた鳥の群れを見て、湖底の温泉を発見したと伝わる。しかし、その温泉に入浴できるようになったのは、明治時代の大規模開発によって潟（かた）の一部が埋め立てられてから。以後、多くの湯治客が訪れるようになり、一大温泉街を形成して発展してきた。

温泉街中心にある砂走公園の足湯施設「足の湯 えんがわ」

2012年には、白山連峰を望む柴山潟の湖畔に、新しい総湯（共同浴場）が誕生した。設計を担当したのは、世界的建築家の谷口吉生氏。全面ガラス張りの近代的な建物には、「潟の湯」と「森の湯」という2つの浴室がある。「潟の湯」では、浴槽の窓側にある縁から湯があふれると、目前に広がる柴山潟の水面と一体化して見える。まるで潟に浸かっているような気分で、雄大な自然景観を満喫することができるのだ。

「潟の湯」の浴室からは柴山潟が一望できる

温泉街の中心にある検番（けんばん）「花館（はなやかた）」は、かつて芸妓（げいこ）の踊りや三味線の稽古場だった。紅殻格子（べんがらごうし）が温泉情緒を醸し出し、玄関先に並んだ芸妓の名が入った稲荷提灯（いなりちょうちん）は往時の華やかさを伝えている。

花館には甘味が楽しめる「茶房富久紗」があり、源泉を使った「源泉豆腐」作り体験もできる

●交通アクセス
JR北陸本線「加賀温泉駅」から、観光周遊バスの小松空港線で約10分「片山津温泉」下車

映像提供＝金沢ケーブルテレビネット「なぜだか金澤～見つけて加賀・能登」
（バナー写真：片山津温泉のモダンな公共温泉施設「総湯」）