石川・山中温泉:加賀の三温泉(3)【動画】

旅と暮らし

石川県の加賀三温泉に数えられる山中温泉は、今から約1300年前、奈良時代の高僧・行基(ぎょうき)が発見したと伝えられる。江戸時代、俳聖・松尾芭蕉が『おくのほそ道』の北国行脚の折に立ち寄った際、「山中の湯」を有馬、草津と並ぶ「扶桑の三名湯」と称し、「山中や菊は手折(たお)らじ湯の匂い」の句を詠んだ。

四季折々の自然美を誇る山中温泉は、山々に抱かれ、大聖寺川(だいしょうじがわ)の渓谷の流れに寄り添うようにある。この地域で随一の渓谷美で知られる鶴仙渓(かくせんけい)は、紅葉の季節が特に素晴らしく、多くの観光客でにぎわう。

紅葉の鶴仙渓に架かるこおろぎ橋総ひのき造りの趣ある「こおろぎ橋」や、草月流3代目家元で映画監督や舞台美術家などとしても活躍した勅使河原宏(てしがはら・ひろし)氏がデザインした斬新な「あやとりはし」からは渓谷の絶景が楽しめる。

山中温泉には、その美しい自然景観を生かした個性的な宿が点在する。渓谷美を楽しみながら、名湯で体を癒やすことができるのだ。

1万坪の敷地に全10室というぜいたくな造りの温泉旅館「かよう亭」の大浴場

温泉街の中心部に、共同浴場の「総湯 菊の湯」がある。男湯は重厚な天平(てんぴょう)文化風、女湯は華麗で優雅な曲線美を持つ造りで、男女別棟の総湯は全国的にも珍しい。女湯の隣にある山中座では民謡・山中節の唄や芸妓(げいぎ)の踊りを鑑賞できる。

左が菊の湯の女湯で、右が山中座

菊の湯からこおろぎ橋付近まで、およそ600メートルの目抜き通りは「ゆげ街道」と呼ばれている。山中漆器や九谷焼などのギャラリー、カフェが軒を連ね、広々とした歩道ではゆったりと散策を楽しめる。

歩道がきれいに整備されたゆげ街道では、ウインドーショッピングや土産探しが楽しい●交通アクセス

  • 「金沢駅」からJR北陸本線で「加賀温泉駅」まで特急で約25分。加賀温泉バスの温泉山中線で「山中バスターミナル」まで約30
  • 「加賀温泉駅」からタクシーで約20

映像提供=金沢ケーブルテレビネット「なぜだか金澤~見つけて加賀・能登」
(バナー写真=かよう亭の露天風呂から紅葉を眺める)

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