【動画】エッフェル塔が日本の色に輝く

日仏友好160年を記念してフランスで開催されている日本文化・芸術の祭典「ジャポニスム2018」。9月13日と14日には、首都パリのランドマーク、エッフェル塔が日本をテーマにライトアップされた。

「エッフェル塔・日本の光を纏う」(Les lumières du Japon habillent la tour Eiffel)と題し、2夜にわたって投影されたのは、7分間の「ライトパフォーマンス」と3分間の「シンボリックイメージ」の2部から構成されるプログラム。日没後の午後8時30分から午前1時にかけて、合計10分間の色鮮やかな光のスペクタクルが繰り返しエッフェル塔を彩った。

日本の照明デザイナーの草分けで国際的な名声を博する石井幹子(もとこ)さんと、同じく照明デザイナーとしてパリを拠点に活躍する娘の石井リーサ明理(あかり)さんがライトアップを手がけ、「自由、美、多様性」をテーマに、独創性あふれるプログラムを練り上げた。

「ライトパフォーマンス」は4つの章に分かれる。幕開けは、日本の美を象徴する純白に化粧したエッフェル塔に真っ赤な太陽が昇る「プレリュード」。シンプルな日の丸カラーを印象的に使って、フランス人が「日出ずる国」と呼ぶ日本を表現した。続く「自由」では、青赤2色の光が交差するビームを用いて、二国間の自由な交流と友情を演出した。

次いで「美」。東京国立博物館が所蔵する美術品の映像を、日本で開発された最新のレーザープロジェクターで投影しながら、日本文化の伝統的な三大美である「雪」、「月」、「花」を中心に表現した。そして最後を飾るのは、変化に富んだ色と光の模様が躍動する「多様性」。日本とフランスが互いに手を取り合って構築する多様性豊かな未来の社会を映し出した。

これに続く「シンボリックイメージ」の部は、日本美術の重要な要素である金地をイルミネーションに取り込むという大胆な試み。LEDで黄金の光を作り出すという困難な課題を、日本で特別に開発された投光器によって実現した。プロジェクションのモチーフとなるのは、根津美術館が所蔵する国宝、尾形光琳筆『燕子花図屏風』(18世紀)。金色に染め上げたエッフェル塔の下部に、横長の屏風絵をゆっくりと動かしながら投影した。

エッフェル塔という世界的なモニュメントを舞台に、伝統文化と最先端の技術という日本が誇る二つの魅力を見事に融合させた今回のプロジェクト。日本とフランスが共に歩む新たな時代の幕開けを象徴する出来事として記憶されるに違いない。

撮影=澤田 博之
編集=野口 香織

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