パラリンピックの「クラス分け」に批判 不公平で不正の温床とも

東京2020

【9月2日 AFP=時事】パラリンピックなどの障害者スポーツでは、障害の種類や程度に応じて選手を分類し、公平な競争を実現する「クラス分け」が大きな役割を果たすが、このところ批判の声が高まっている。

子どもの頃に髄膜炎を発症して両膝から下と両肘から先を切断したフランスの競泳選手テオ・クリン(Theo Curin)は、クラス分けのシステムと評価方法に納得できず、東京パラリンピック参加を見送った。

21歳のクリンは「急に両手がある選手2人が、自分と同じS5のカテゴリーに登場した。水泳で両手があることのメリットがいかに大きいかは賢くなくても分かる」と述べ、「目に余る不公平がたくさんあって腹が立つし、本当にばかげている」と批判した。

パラリンピックでは肢体不自由、視覚障害、知的障害の三つに分類される10種類の障害が基準として定められているが、各障害の中でも能力差が出るため、選手はだいたい同じ能力の相手と競い合えるよう、さらにクラス分けされる。  

例えば水泳では、自由形とバタフライと背泳ぎはS、平泳ぎはSB、個人メドレーはSMと分類される。そして肢体不自由は1から10にクラス分けされ、数字が小さいほど障害は重い。視覚障害は11から13、知的障害は14で示される。

だが、このシステムは複雑で時間がかかることから、一部のアスリートは機能していないと考えている。

◼︎クラス分けが不正の動機に

システムに欠陥があると感じているのはクリンだけでなく、特に競泳ではクラス分けをめぐり激しい議論がなされている。

8月28日にパラリンピック通算14個目の金メダルを獲得した米国のジェシカ・ロング(Jessica Long)は、成功を収めたパラアスリートが享受する名声や金銭的見返りが大きくなったため、「不正を働く動機は非常に大きい」と話す。昨年には、米誌スポーツ・イラストレイテッド(Sports Illustrated)で、「愛するスポーツがこんな形で破壊され続けるのを見ていられない」とも語った。

一方、国際パラリンピック委員会(IPC)はクラス分けシステムを擁護し、「残念ながら近年われわれが目にしているのは、競争の激化を受け入れられずにいる少数のアスリートの姿だ」との認識を示している。

「彼らはパラスポーツの改善された競争性を受け入れるのではなく、対戦相手のクラス分けを疑問視している。国際的なクラス分け担当者が、彼らのライバルのクラスは適正だと判断した事実があるにもかかわらずだ」

しかしシステムを批判する側は、クラス分けの際に恣意(しい)的で非科学的な評価が行われていると指摘する。フランスの競泳選手クレア・スピオ(Claire Supiot)は、国営ニュースラジオ局フランス・アンフォ(Franceinfo)に対し、評価は「目視で行われ、担当者の感覚がベースになっている」と話した。 スピオは今年の再評価でS8からS9に変更となり、「表彰台入りの道が劇的に険しくなった」と主張している。

また、より障害の重いクラスに入って競技でアドバンテージを得るため、システムを悪用しようとするアスリートが存在するとの疑惑もある。

2017年に英紙ガーディアン(Guardian)は、匿名の元クラス分け担当者の話として、評価中により能力が制限されているように見せるため、熱いシャワーや冷たいシャワーを浴びたり、雪の中を転げ回ったり、手足にバンデージを巻いたりするアスリートがいたと報じている。【翻訳編集】AFPBB News/Clément VARANGES

東京アクアティクスセンターで練習する米国のジェシカ・ロング(2021年8月23日撮影)。(c)Charly TRIBALLEAU / AFP
東京アクアティクスセンターで練習する米国のジェシカ・ロング(2021年8月23日撮影)。(c)Charly TRIBALLEAU / AFP

フランス競泳男子のテオ・クリン(2020年10月23日撮影)。(c)FRANCK FIFE / AFP
フランス競泳男子のテオ・クリン(2020年10月23日撮影)。(c)FRANCK FIFE / AFP

東京パラリンピック、競泳女子200メートル個人メドレー(運動機能障害SM8)。表彰式で金メダル獲得を喜ぶ米国のジェシカ・ロング(2021年8月28日撮影)。(c)Yasuyoshi CHIBA / AFP
東京パラリンピック、競泳女子200メートル個人メドレー(運動機能障害SM8)。表彰式で金メダル獲得を喜ぶ米国のジェシカ・ロング(2021年8月28日撮影)。(c)Yasuyoshi CHIBA / AFP

東京パラリンピック、競泳女子400メートル自由形(運動機能障害S9)予選に臨むフランスのクレア・スピオ(右から2人目、2021年8月25撮影)。(c)Yasuyoshi CHIBA / AFP
東京パラリンピック、競泳女子400メートル自由形(運動機能障害S9)予選に臨むフランスのクレア・スピオ(右から2人目、2021年8月25撮影)。(c)Yasuyoshi CHIBA / AFP

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