脱出からプロポーズまで、東京パラの記憶に残る場面5選

東京2020

【9月6日 AFP=時事】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって、1年延期して開催された東京パラリンピックは、5日の閉会式で幕を閉じた。ここでは、アフガニスタン選手の極秘の国外脱出から、英国の自転車選手による新記録、レース後のプロポーズまで、大会の忘れられない五つの瞬間を振り返る。

■アフガン選手のカブール脱出

アフガニスタンで8月、イスラム主義組織タリバン(Taliban)があっという間に権力を掌握したことで、2人のパラリンピック選手が国内に閉じ込められた。カブールを脱出する手だてはなく、東京パラリンピック出場の夢は絶たれたかにみえた。

同24日の開会式では、ボランティアスタッフの手でアフガニスタン国旗だけが掲げられた。それでも開幕から4日後、関係者はザキア・クダダディ(Zakia Khudadadi)とホサイン・ラスリ(Hossain Rasouli)の2選手が東京入りしたことを発表した。

二人はフランス・パリ経由でアフガニスタンから退避したが、詳しいことは秘密になっている。国際パラリンピック委員会(IPC)のスポークスマンを務めるクレイグ・スペンス(Craig Spence)氏は「地球規模の大作戦」だったと表現している。

ラスリは陸上男子走り幅跳び(上肢障害T47)決勝に、クダダディは今大会から採用されたテコンドーの女子49キロ級(上肢障害K44)に出場した。

■「ベベ」が大会連覇

車いすフェンシング女子では、競技の顔で、最も有名なパラリンピック選手の一人である「ベベ」ことベアトリチェマリア・ビオ(Beatrice Maria Vio、イタリア)が、見事な戦いでリオデジャネイロパラリンピックに続く金メダルを獲得した。

11歳のときに髄膜炎にかかり、両前腕と両脚を切断することになったビオは、女子フルーレ個人カテゴリーB決勝で、中国の周景景(Zhou Jingjing)に15-9で勝利した。ビオは19歳で臨んだリオパラリンピックでも、優勝候補だった周を破っており、2大会連続の金メダルとなる。

電光石火のスピードと、激しい叫び声で知られるビオは、ドキュメンタリー番組「Rising Phoenix」でも取りあげられた9選手の一人で、競技以外にも講演や執筆、俳優業、テレビの司会、障がいの啓発活動に意欲的に取り組んでいる。

■英国がつかんだ車いすラグビーの金メダル

かつて「殺人ボール」と呼ばれたほどの激しさで知られる車いすラグビーの男子では、英国が欧州のチームでは初となるパラリンピック金メダルの快挙を成し遂げた。

英国は決勝で、絶対的な優勝候補の米国を54-49で破って優勝。日本は銅メダルを獲得した。

■栄光へのペダルを踏んだストーリー

英国勢ではもう一人、自転車競技の大選手であるサラ・ストーリー(Sarah Storey)が同国史上最多となる17個目の金メダルに到達した。

不屈の43歳は今大会で3個の金メダルを獲得し、1976年から1988年にかけて競泳で16個の金メダルを獲得したマイク・ケニー(Mike Kenny)氏を上回った。初めて金メダルを手に入れてから29年後の記録達成だった。

最後の女子個人ロードレース(運動機能障害C4-5)は冷たい雨が降り、霧も出る難しいコンディションの中での勝利だった。ストーリーは「今は少し感極まっている」と話し、「まるで人ごとのような感じがする。それでも1位でフィニッシュラインを越えたときは素晴らしい気持ちだった」と喜んだ。

「最後の下り坂ではブレーキに触らず、とにかく走りきった」

■パラリンピックでプロポーズ

雨にぬれた9月2日の国立競技場(Japan National Stadium)では、陸上女子200メートル(視覚障害T11)予選で敗退したカボベルデのケウラニドライア・ペレイラセメド(Keula Nidreia Pereira Semedo)にうれしいサプライズが待っていた。

レースが終わると、伴走者のマヌエルアントニオ・バスダベイガ(Manuel Antonio Vaz da Veiga)さんがペレイラセメドの前でひざまずき、結婚を申し込んだのだ。映像には、二人が笑顔を見せ、ペレイラセメドがプロポーズを受け入れる様子が映っている。

バスダベイガさんは後ほど、ペレイラセメドがパラリンピック代表に選ばれた7月からプロポーズを考えていたと明かし、「最高の機会と場所だと思った」と話した。

ペレイラセメドは引退も考えていたが、プロポーズを受けて考え直したとのことで、「パラリンピック後も続けていく新たなモチベーションができた。いつも彼がそばにいてくれるのだから」とコメントしている。【翻訳編集】AFPBB News

東京パラリンピック、テコンドー女子49キロ級(上肢障害K44)1回戦に臨むアフガニスタンのザキア・クダダディ(2021年9月2日撮影)。(c)Philip FONG / AFP
東京パラリンピック、テコンドー女子49キロ級(上肢障害K44)1回戦に臨むアフガニスタンのザキア・クダダディ(2021年9月2日撮影)。(c)Philip FONG / AFP

東京パラリンピック、陸上男子走り幅跳び(上肢障害T47)決勝に臨むアフガニスタンのホサイン・ラスリ(2021年8月31日撮影)。(c)Philip FONG / AFP
東京パラリンピック、陸上男子走り幅跳び(上肢障害T47)決勝に臨むアフガニスタンのホサイン・ラスリ(2021年8月31日撮影)。(c)Philip FONG / AFP

東京パラリンピック、車いすフェンシング女子フルーレ個人カテゴリーB決勝に臨むイタリアのベアトリチェマリア・ビオ(2021年8月29日撮影)。(c)Yasuyoshi CHIBA/ AFP
東京パラリンピック、車いすフェンシング女子フルーレ個人カテゴリーB決勝に臨むイタリアのベアトリチェマリア・ビオ(2021年8月29日撮影)。(c)Yasuyoshi CHIBA/ AFP

東京パラリンピック、車いすラグビー男子で金メダル獲得を喜ぶ英国の選手(2021年8月29日撮影)。(c)Behrouz MEHRI/ AFP
東京パラリンピック、車いすラグビー男子で金メダル獲得を喜ぶ英国の選手(2021年8月29日撮影)。(c)Behrouz MEHRI/ AFP

英国選手として歴代最多となる17個目のパラリンピック金メダルを獲得したサラ・ストーリー。写真は女子個人タイムトライアル優勝時(2021年8月31日撮影)。(c)CHARLY TRIBALLEAU / AFP
英国選手として歴代最多となる17個目のパラリンピック金メダルを獲得したサラ・ストーリー。写真は女子個人タイムトライアル優勝時(2021年8月31日撮影)。(c)CHARLY TRIBALLEAU / AFP

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