現職官房長官が異例の人生相談 “令和おじさん”激動の一年、その先に見据えるものは

政治・外交

  • 雑誌で「戦略的人生相談」開始 実は“人生相談歴”半世紀?
  • 「令和おじさん」で総理候補に急浮上!?その後に…激動の一年
  • 在職約2700日、会見3000回超のギネス級 菅義偉の見据える先は

雑誌で人生相談に乗り出した官房長官 そのわけは

異例とも言える現職官房長官の人生相談が始まった。4月24日発売のビジネス誌「プレジデント」で連載がスタートしたのは、その名も「菅義偉の戦略的人生相談」。初回では「英語が得意なのに会社で活かせない」という新入社員の悩みに答えている。

菅義偉官房長官は、誌上で人生相談を始めた理由について、こう語っている。

「高校生のころから50年以上にわたり、読売新聞で連載中の人生相談『人生案内』を愛読している。政治家の仕事は国民の悩みを知り、耳を傾け、解決策を模索することが根本。(後略)」

菅長官は、毎朝必ず目を通す読売新聞の「人生案内」で、相談に対する自分なりの答えを用意することが日課になっているという。そして、用意した答えは、相談の回答とほぼ同じだというのだ。実に半世紀に及ぶその積み重ねで、今後の連載で相談者の悩みにどう答え、解決に向けて背中をどう押していくのだろうか。相談者も「菅長官が言うなら…」となるのか、現職官房長官の人生相談は色んな意味で注目となる。

次の総理候補に急浮上!?令和おじさんデビューに永田町は警戒感

2019年4月1日 「令和」を掲げる菅官房長官
2019年4月1日 「令和」を掲げる菅官房長官

新元号「令和」は、5月1日で丸1年を迎えた。昨年4月1日、「令和」を発表した菅官房長官は、以降、“令和おじさん”として知名度、人気ともに急上昇し、ポスト安倍に一躍躍り出た。

昨年5月には、官房長官として初めて米国ワシントン・ニューヨークを訪問し、ペンス副大統領らとの会談を果たすなど、アメリカ政府から異例の厚遇も受けた。

ペンス米副大統領と会談した菅官房長官 2019年5月・ワシントン「在米国日本大使館撮影」
ペンス米副大統領と会談した菅官房長官 2019年5月・ワシントン「在米国日本大使館撮影」

また、小泉進次郎議員が去年8月、官邸で異例の結婚発表をした際にも、小泉議員が最初に報告したのは菅長官だった。

自身も令和ブームとともにその波に乗った1年だった。年末の流行語大賞に「令和」がノミネートされ、発表時のゲストとして声がかかったが「令和は自分のものではない」と出席を断った、そうした姿も菅長官を表す顔の一つだ。

急浮上後は失速も?激動の一年…“菅潰し”の声も

この1年は菅長官にとっても激動だった。

令和発表から5か月後の去年9月、第四次安倍改造内閣が発足した。そこで初入閣を果たしたのが菅長官に近いといわれる菅原一秀経産大臣(当時)と河井克行法務大臣(当時)だった。しかし、自身や妻の公選法違反疑惑で辞任に追い込まれ、菅長官も記者会見などで責任を追及される日が続いた。

菅原一秀前経産相と河合克行前法相
菅原一秀前経産相と河合克行前法相

さらに、安倍首相主催の「桜を見る会」を巡る問題や、自らが推進するIRを巡る汚職事件などで、国会や会見で連日、説明に追われた。自身の側近とされる和泉首相補佐官が海外出張の際、女性官僚と“コネクティングルーム”に宿泊していた問題も野党の批判を受けた。

この間、菅長官を囲むグループから離れる議員もあらわれ、「令和」発表を機に一気に「ポスト安倍」に浮上するも求心力の低下もささやかれた。

加えて、ポスト安倍に向けて動き出した自民党・岸田政調会長を見据えた官邸内での動きに、権力争い、嫉妬も絡み、批判は年明けまで続いた。こうした動きに“菅潰し”が始まったとの声も聞かれた。

しかし、「批判が相次いだおかげで、心配して支えようという人たちが際立って現れた」と菅長官周辺が語るように一部議員や官僚たちなどからは踏ん張ってほしい、との“菅サポーター”の存在がはっきりしたという。

官房長官の役割 危機管理の要諦

国内で感染が拡大する新型コロナウイルスを巡っては、緊急事態宣言の発令など政治決断や政府の危機管理への対応が日々求められている。この問題で危機管理の責任者となる菅長官が最初に陣頭指揮を執ったのが56の国と地域の乗員・乗客3700人を乗せたクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」への対応だった。

2月4日、船内で最初にPCR検査が行われた31人中10人が陽性と判明した。夜遅くにその報告を受けた菅長官は、5日午前0時から関係閣僚と担当省庁幹部などを招集し、都内のホテルで対応策を協議し、船内隔離を決めた。終了時刻は午前2時半を回っていた。それでも日課の早朝の散歩は普段通りこなし、何事もなかったかのように連日、危機管理の対応に緊張感を高める。

ダイヤモンドプリンセス号
ダイヤモンドプリンセス号

一方、この新型コロナの政府対応では安倍首相が2月末に決断した全国の学校への休校要請を巡り、危機管理を担う菅長官は一斉休校の総理決断は直前まで知らされなかった。こうした経緯は官邸内での“菅外し”とも指摘されている。それは来秋に迫る総裁選を巡る“ポスト安倍”争いを踏まえた主導権争いの動きとの関連も見え隠れする。

3月6日、第二次安倍内閣発足以降、菅長官の記者会見の回数は3000回となった。官房長官の在職期間も2700日に迫り、憲政史上最長記録を更新中だ。

そんな菅長官は「仕事は楽しくてしょうがない」と周囲に語る。そうした中で始まった“戦略的人生相談”。菅長官はその先に何を目指しているのだろうか

(フジテレビ政治部 千田淳一)

(FNNプライムオンライン5月1日掲載。元記事はこちら

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