横田滋さん再会の願い叶わず死去 めぐみさん救出活動に40年 被害者家族の親世代はわずか2人に

社会

めぐみさんを探し続けて“40年”

「めぐみさんと会いたい」。
その一心で全都道府県をまわり1400回を超える講演を続けた横田滋さん。
「日本人拉致問題」今では日本国民に浸透したこの問題を広く世の中に伝え、解決に向けて尽力し続けた人生だった。


1977年11月15日、滋さんの赴任先だった新潟市で事件は起きた。
当時中学1年生だった長女・めぐみさんが北朝鮮の工作員に拉致されたのだ。
当初はなぜ娘が消えたのか・・・何も分からないまま手探りの活動が続いた。
事態が動いたのは20年後の1997年。
突然「拉致疑惑」の情報が飛び込んできた。
拉致被害者の「家族会」を結成すると、初代会長に就任。
妻・早紀江さんとともに街頭で懸命に訴えながら署名を集めるとともに、
全国を飛び回って講演を行い、早期解決を訴え続けた。


史上初の日朝会談実現も帰国ならず

2002年、史上初の日朝首脳会談が実現した。
期待を膨らます横田夫妻に突きつけられたのは、「めぐみさん死亡」という非情で残酷な知らせだった。

滋さん
「私はいい結果が出るものと楽しみにしておりました。しかし、結果は死亡という残念なものでした。」
早紀江さん
「いつ死んだかどうかも分からないことを信じることはできません」

2人にとって到底納得できるものではなかった。
その後、北朝鮮側が提出しためぐみさんのものとする遺骨は、DNA型鑑定の結果、別人の骨と判明。
この年の10月には拉致被害者が帰国。滋さんはカメラ片手に感動の再会の場を写真におさめていたが、そこにめぐみさんの姿はなかった。


2014年。横田夫妻はモンゴルでめぐみさんの娘、ウンギョンさんと面会。
ひ孫にあたる女の子とも対面したが、ここにもめぐみさんはいなかった。

早紀江さん
「ひ孫がいまして。あまりにもめぐみに似ているので涙が出てきて・・・。
なんでめぐみが出てこないのかなってやっぱりそれが一番つらい」


常に夫婦二人三脚で続けてきた救出活動。
日本だけでなく、アメリカや韓国など海外でも拉致問題の解決を訴えた。
しかし、滋さんが高齢になるにつれて講演などに参加できない状況が徐々に増え、
おととし4月、入院することに。
妻・早紀江さんは毎日のように滋さんのもとを訪れ、
手足をマッサージするなど献身的な介護を続けてきた。

早紀江さん
「それこそ戦友じゃないですけど、長い年月一緒にきてこんな苦しい目にあって、一番大事にしていた娘に会えないで、やっぱり1人にしておくのは忍びないんですよ。マッサージしてあげたりほんの少しだけど、つとめだなあと思いますね。」

病室にめぐみさんの写真を飾って再会を心待ちにしていたという滋さん。
その願いは叶わず、6月5日、この世を去った。

早紀江さん・拓也さん・哲也さん
「めぐみを取り戻すために主人と二人で頑張ってきましたが、
主人はめぐみに会えることなく力尽き、今は気持ちの整理がつかない状態です」

再会叶わず 被害者家族の高齢化深刻

滋さんの訃報に拉致被害者やその家族からも悲しみに声が広がっている。

曽我ひとみさん(拉致被害者)
「悔しい、悲しい、心が痛い、様々な思いが頭の中をぐるぐる駆け回っています。
40年間頑張ってきてくれたその苦労や悲しみとかは
会えなくても絶対にめぐみさんに通じていると思います。
私の人生を救ってくれた、心から感謝してもしきれません。」


蓮池薫さん(拉致被害者)
「びっくりしたのとショックを受けている。
めぐみさんが帰国を果たせないまま終わってしまったら浮かばれない」


有本明弘さん(有本恵子さんの父)
「滋さんはよくやってくれた。全国の人が拉致を知ってくれるようになった。一番感謝している。横田さんがいたからここまでやってこられた」

飯塚耕一郎さん(田口八重子さんの長男)
「本当に偉大な人。滋さんたちがいなければ拉致問題はとっくの昔に幕引きになっていたのではと思う。こういう家庭を出してはいけないというさらなる強い意志で拉致問題の解決に向けて進まなければいけない。」

増元照明さん(増元るみ子さんの弟)
「横田ご夫妻は十歩も百歩も前を歩いていて、私たちはその後をついていった感じ。
あの2人がいなければ長くは続けられなかった運動だったかもしれない。
何も動かないまま家族が倒れていっている。それを許すのか?
 政治家の“無念”や“残念”という言葉はもう聞きたくない」

市川健一さん(市川修一さんの兄)
「滋さんは常に穏やかでいながら心の中には強さと悔しさを秘めて闘い続けた。拉致被害者家族会の初代会長として引っ張ってくれた。今後は滋さんの分まで闘いたい。」

斉藤文代さん(松木薫さんの姉)
「めぐみさんや薫など拉致されている日本人が戻ってくることを願っていました。天国から私たちの活動を見守ってほしい。」

拉致被害者家族の高齢化は一層深刻になってる。
親世代では有本恵子さんの母親、嘉代子さんが今年2月に死去。
今回、滋さんも亡くなってしまったことで、
残るは横田早紀江さんと有本明弘さんの2人だけとなった。
拉致問題解決に向けた糸口が見つからない中、
「愛する家族との再会」に残された時間はわずかしかない。

(FNNプライムオンライン6月6日掲載。元記事はこちら

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