渦中の河井案里氏 突然の“差し替え”は自民党の“口止め”?釈明と雲隠れの裏側

政治・外交

渦中の河井案里議員が買収疑惑を否定

記者「買収行為はあったのでしょうか?」
河井案里議員「全くありません」

6月9日
6月9日

2019年の参院選における陣営の公職選挙法違反事件への関与が捜査対象となっている自民党の河井案里参院議員は6月9日、上記のように自身の違法行為を否定した。

秘書らが起訴され、検察が案里氏の刑事責任も追及する構えだと報じられる中、案里氏は国会への出席を続けているが、その状況にちょっとした異変が起きている。そして、最近の案里氏の記者団への対応などをつぶさに見ると、その胸中や、自民党の思惑が浮かび上がってくる。

意外にも?記者団の問いかけに応じる案里氏

夫の河井克行前法相
夫の河井克行前法相

去年秋に公選法違反に関する報道が出て以降、案里議員と夫の河井克行前法相は、雲隠れした時期もあったが、今年に入ってからは、国会の本会議にはほぼ出席している。そして両氏が国会に姿を現すたびに記者団は、「説明してもらえないか」「いつになったら説明してもらえるのか」などと声かけ取材を行っている。これに対し克行氏は無言を貫いているが、案里氏は時々記者の質問に答えることがある。

(5月19日)
記者「このまま何も語らずということはありうるのか」
案里氏「説明はいずれ私の口からきちんと皆様に申し上げます」

記者「きょうの公判で秘書が内容を認めたようだが」
案里氏「聞いてませんので、まだ」

記者「違法な報酬を支払った認識はないか」
案里氏「ないです」

5月19日
5月19日

(5月27日)
記者「立道被告(案里氏の秘書)の裁判を見ているか」
案里氏「見てないですね」

5月27日
5月27日

このように記者団の問いかけに言葉少なながらも応じることがある案里氏。国会議事堂に入るにあたっては、記者団がほとんどいない別の入口もあるのだが、案里氏はあえて記者団が待ち構えている正面の入り口を使っている。ある関係者によると案里氏は、国会に出入りする際に逃げているという印象を持たれるのを嫌っているのだという。

案里氏は、現段階では自身の疑惑について、国民が納得のいく説明を全く果たしていないが、メディアを避けて一切の説明を拒否しているというわけでもないのだ。

突然の調査会委員“差し替え”

一方で、ちょっとした異変が起きたのは冒頭のやりとりの翌10日だった。案里氏が委員を務めている参議院の「国際経済・外交に関する調査会」が開かれ、記者団は案里氏がその出入りで何か発言しないかと注視していた。しかしそこに案里氏の姿はなかった。事務局に確認したところ、9日夕方に調査会のメンバーの“差し替え”が行われたからだ。

国会議員が本会議を欠席する際には、欠席届を提出する。しかし、委員会や調査会では、議員が欠席する場合、同じ党の別の議員を代わりに委員に登録し出席人数をキープする、いわゆる“差し替え”が可能であり、一般的によく行われている。そしてこの“差し替え”は、すぐに元に戻すことが可能だ。案里氏も調査会が終わった直後に、メンバーに戻っていた。

では、10日の調査会の“委員差し替え”の背景には一体何があったのか。

過去には自民党本部から“口止め”も?国会閉会までに説明は

2019年7月参院選
2019年7月参院選

今年1月、自民党本部から河井夫妻の政党支部に計1億5000万円が振り込まれていたことが報じられ、国会内で記者団の取材を受けた案里氏が、報道内容は事実だと記者団に認めたことがあった。この案里氏の対応は自民党本部からしたら想定外だったのかもしれない。それを受けて、ある自民党関係者は、案里氏は「今後答えないと思うよ」と、あたかも自民党本部が案里氏に口止めをしたことを示唆するような言いぶりをしていた。

2020年1月
2020年1月

案の定、その後しばらく案里氏は記者団の問いかけに応じなくなった。しかし、また徐々に質問に答えるようになり、6月9日に案里氏が国会に出入りした際には、冒頭の発言通り、明確に自身の疑惑を否定した。そのことがメディアで報じられると、翌10日、案里氏は、“差し替え”という形で、調査会を欠席した。

この一連の経過を踏まえると、9日の案里氏の発言を問題視した自民党本部が、口止めよりもさらに安全策をとる形で、案里氏を記者団から隠すために調査会を欠席させたのではないかとの見方も浮上している。

そして案里氏は、メディアに自らの思いを話したい気持ちと、余計なことは聞かれたくないという気持ち、さらに自民党という所属組織からの縛りの間で揺れ動いている面があるのかもしれない。だからこそ、無言を貫く克行氏と異なり、記者団の取材に応じたり、応じなかったりと、対応に一貫性が見られないのではないか。

国会の会期末は17日に迫っている。国会が閉会すると、検察の動きが加速するとの見立てがある一方、案里氏が記者団の前に姿を現す機会はほぼなくなる。それまでに記者団に対して何かを語るのか、語らないのか。河井夫妻の一挙手一投足に注目が集まる。


(フジテレビ政治部 高橋洵)

 

(FNNプライムオンライン6月12日掲載。元記事はこちら

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