感染防止で「来ないで」訴え 揺れる世界遺産の小笠原

社会 旅と暮らし


緊急事態宣言の解除から1カ月。
世界遺産の島は新たな苦境に直面していた。

目の前を泳ぐ野生のイルカ。
まさに息をのむ、雄大な自然に囲まれた小笠原諸島。

2011年には世界自然遺産に登録された、東京都の島。

本土では経済活動が再開する一方、同じ東京でありながら、新型コロナウイルスによる苦境にあえいでいる。

都心部からおよそ1,000km離れた父島。

島で一番のシュノーケリングスポットにも、観光客の姿はゼロ。

海で遊ぶのは地元の子どもたちだけ。

島の中を車で移動してみても、島の人に時折出会うのみ。

6月いっぱい、観光客の来島自粛を呼びかけているためだという。

小笠原村・森下一男村長「コロナ対策に対する島の態勢ができていません。ですからコロナ感染症の方が、もし島に入るということになると、うちでは大変なことになってしまいます」

小笠原村にある診療所は、父島と母島にそれぞれ1つだけ。

新型コロナの院内感染を防ぐため、診療所の外に新たにテントを設置。

疑いのある患者はまず、ここで診察を受ける。

しかし、PCR検査や抗体検査の体制は今も整っていない。

小笠原村診療所・亀崎真所長「中等症や重症以上の患者は、航空機で本土の病院に搬送していただけることになっている」

来島自粛要請の効果もあってか、島での感染者はゼロ。

その反面、影響が深刻化しているのが観光業。

島で一番大きなリゾートホテル「ホテル・ホライズン」。

館内に飾られているのは、上皇ご夫妻の写真。

上皇ご夫妻は、1994年に父島を訪問し、このホテルに宿泊された。

その由緒あるホテルも、4月中旬以降の稼働率はゼロ。

従業員の解雇を避けるべく、交代で部屋の清掃にあたってもらっているという。

ホテル・ホライズン 打込由美子代表「経済的にももう限界が近づいてきているのではないかと」

父島行きの客船が週に1往復する東京・竹芝埠頭(ふとう)では...。

島に戻る島民「(島外の人は)あまり歓迎はしないけど。自分も不安だけどね」

経済への深刻な打撃を受け、島では観光業者が無病息災を祈るアマビエのキーホルダーを販売。

その売り上げは村に贈られ、仕事のない観光ガイドなどに遊歩道の草むしりをしてもらうなどの雇用支援に充てられている。

小笠原村・森下村長「もう一度、1から着々と、1歩ずつ経済の回復も図っていければと思います。一足飛びにどうということは考えておりません」

(FNNプライムオンライン6月24日掲載。元記事はこちら

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