「東京では医療は逼迫していない」は誤り…専門家が強く訴える現状の厳しさ

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  • 「東京で医療は逼迫していないは誤り」専門家
  • 中高年層や”夜の街”以外でも感染拡大
  • 今の状態続けば医療崩壊も

2週間先を見越して評価すべき」と指摘

「国のリーダーが使っている「東京では(医療が)逼迫していない」は2つの意味で誤り」

東京都のモニタリング会議で、静かに、しかし厳しい声を上げたのは杏林大学医学部の山口芳裕主任教授。
医療の現状の厳しさをこれほど強く訴える声は、これまで出されていなかった。

杏林大学医学部 山口芳裕主任教授
杏林大学医学部 山口芳裕主任教授

山口教授は「東京で医療体制が逼迫していないというのは誤り」とする理由について、第一に、「病床を増やすには2週間の時間が必要だから」としている。
感染防止対策はもとより、病床のレイアウトの変更、医療スタッフのシフトの変更、すでに入院している患者の移動など大変な作業になることから、「2週間先を見越して評価すべき」と指摘した。

第二に、「ベッド確保=入院させられる」ではなく、「新型コロナウイルスの場合、特に手間とマンパワーがかかる」と述べた。
そして対応の長期化で医療従事者が疲弊し、感染者を入院させるための調整が困難になっていること、特に週末や祝日などは病床が空いていても入院出来ない実態も明らかにした。

中高年層や”夜の街”以外でも

また、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は
「新規陽性者数は先週より増加し、緊急事態宣言下での最大値を超えている」とした上で、3月1日から緊急事態宣言解除(5月25日)までを第一波として先週と比較すると、40代以上の全体に占める割合が28.5%に増え、「中高年層に感染が拡大している」と指摘した。
さらに感染経路については、
「接待を伴う飲食店だけでなく、施設内、同居、職場、会食、劇場などのほか、高齢者の家庭内感染も増えている」と、“感染はどこでも起こりうること”を改めて強調した。

国立国際医療研究センター 大曲貴夫国際感染症センター長
国立国際医療研究センター 大曲貴夫国際感染症センター長

「旅しましょう」が医療者にどう響くか…

そして、山口主任教授は最後にこう言い添えた。
「『医療は逼迫していない、だから遊びましょう、旅しましょう』というのが、医療者にどういうふうに響くか想像力を持ってもらいたい。
医療者は都民のために給料が減ったりボーナスも未払いになりながらも、いろんな思いを抱えながら、なんとかしようと努力している。
その一方で、都民もできるだけ感染者を出さないようにしようという信頼関係があってこそ、この波を乗り越えられる」

このまま感染者数が増加し続ければ、医療崩壊を招くのは間違いないだろう。
現場をよく知る専門家の声をどう受け止めるのか、1人1人にかかっている。

(フジテレビ社会部 小川美那記者)

(FNNプライムオンライン7月22日掲載。元記事はこちら

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