“感染ゼロ”原点はあの大震災 システム構築の医師 岩手の秘密

社会 医療・健康


4連休の2日目。
いまだ感染者ゼロの岩手県では、複雑な思いで、他府県からの観光客を迎え入れている。

国内の感染が再び拡大する中、全国で唯一、感染者ゼロを維持している岩手県。

新型コロナウイルスの影響で一時休止していたキャンプ場だが、24日は予約でいっぱい、家族連れでにぎわっていた。

県外からの観光客「この大きな自然で『密』にならないようにということで、だいぶいいと思います」

4連休の2日目、県内にある観光地の駐車場は、他府県ナンバーの車でいっぱいになっていた。

岩手県を代表する名所、中尊寺では...。

県外からの観光客「兵庫・西宮市からです。きょうはね、やっぱりすごく負い目を感じて、こっち寄してもらった」

道の駅もにぎわっていたが...。

道の駅平泉 取締総務部長・千葉志津子さん「きのうは思ったより、たくさんおいでいただきまして喜んでいるところですが、半面コロナの心配もしています」

“感染者1号”を出してはならない。
そんな緊張感が漂う岩手県。

しかし、そのムードの行き過ぎを危惧し、岩手県の達増知事は「(感染者の)第1号になってもとがめません」と、病院の受診を控えることなどがないよう、呼びかけてきた。

その達増知事は、県内ゼロを維持できた理由の1つとして、24日、ある取り組みを挙げた。

達増知事「国の専門家会議が立ち上がるより前に、すでに、(岩手県は)専門家委員会が立ち上がったというところがある」

その岩手版専門家会議の委員長を務めている、岩手医大の櫻井滋教授(64)。

県のコロナ対策をサポートしてきた。

櫻井教授「本県は(感染者が)ゼロですので、これから増えるフェーズに入ってきます。このままゼロが続くことの方が不自然だと」

2020年2月、櫻井教授は、集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」に国からの依頼で乗船し、船内の状況を調査した。

危険と隣り合わせの調査。
その原動力となったのが、9年前の東日本大震災だった。

櫻井教授「船に乗るのも嫌だったんですけどね。でも何でだろう、津波で流された人たちの声が聞こえるって感じ」

岩手県生まれの櫻井教授。

4歳の時に、チリ地震津波を体験し、東日本大震災では、発生の3日後に被災地へ。

櫻井教授「チリ地震津波の時と同じ風景なんです。同じ場所に船が乗り上げたり、まさにやりきれない」

被災地での感染症対策に乗り出した櫻井教授は、各避難所を回り、感染症の発生状況を報告してもらうシステムを構築。

インフルエンザなどの拡大防止に役立てた。

櫻井教授「盛岡にいながら、どの避難所が危険か、ある程度わかるようになったんですね」

この時の取り組みから、岩手県では、全国初となる常設の感染制御支援チーム「ICAT」が誕生。

チームは、県内各地で講習会を開くなどして、岩手の感染者ゼロを支えている。

櫻井教授「岩手県だけはワクチン間に合ったねって言われれば、最高ですね。不可能ではないと思います。その日は必ず来るので、津波から立ち上がったように」

(FNNプライムオンライン7月24日掲載。元記事はこちら

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