「CD-R」の技術で水害を防ぐ⁉日の丸技術の需要低迷からの華麗なる転身

経済・ビジネス 技術

  • 「太陽誘電」は需要の低迷で「CD-R」事業から撤退
  • しかしその技術を生かして小型「水位計」を開発
  • 軽量化に加えて開発コストも10分の1に抑制
  • 「太陽誘電」は需要の低迷で「CD-R」事業から撤退
  • しかしその技術を生かして小型「水位計」を開発
  • 軽量化に加えて開発コストも10分の1に抑制

「CD-R」の技術を水害対策に転用

かつて日本が開発し、世界を席巻したデータ記録「CD-R」の技術。
それが今、形を変え、生かされようとしている。


いったい何に生かされるかというと。

太陽誘電で水位計を開発した砂川隆一さん:
水害を抑えるためには、水位センサーとか雨量センサーなどがある。そういったものをわれわれが安く提供できれば。


群馬県に拠点を構える電子部品メーカーの「太陽誘電」。
そこには開発に4年を費やした最新機器があった。

開発担当者・砂川隆一さん:
これが我々が開発した第1号機の試作品です。

水位計
水位計

およそ10cm四方の箱に、データ送信のアンテナが2本。
これは河川などの水面の高さを測る水位計。

本体から電波を発射し、跳ね返ってきた時間で水面の高さを算出する仕組みだ。


電波を天井に向けると、その距離をおよそ1.5メートルと計測。
また、人に向けると40cmほどと正しく計測した。


この水位計のポイントは、そのサイズ。

開発担当者・砂川隆一さん:
右の水位計が我が社のもの。左が他社さんのもの。見ていただければ大きさが全然違うことがわかります。


小型化に成功し開発コストも10分の1に

電波は、波がある水面に当たると一部が乱反射してノイズとなり、水面の高さの計測を邪魔する。
データを処理し、正確に水面までを計るため、これまでの水位計は大きく重いものだった。


しかし、今回開発された水位計は、正確に計測しながらも、この小ささ。
コストも従来品の10分の1になったという。


それを可能にしたのが、過去に太陽誘電が製品化し大ヒット商品になった、記録メディア「CD-R」の技術だった。


CD-Rも、レーザーでデータを処理する際にノイズが起きるが、太陽誘電の技術はそれを除去してデータの記録と再生を可能にした。

音楽などさまざまなデータを扱えることから、世界中で使われ、その売り上げも300億円以上と会社にとってCD-Rは大きな存在だった。


ところが、その後、安い海外製品や次世代記録メディアの登場によって、需要が低迷し5年前に事業から撤退。

しかし、培った技術の転用を模索し、近年、豪雨などで頻発する水害対策に出会った。


自治体も注目

太陽誘電で水位計を開発した砂川隆一さん:
水害というのも、決して日本だけではない。いろいろなところで気候変動が起きている。(水位計も)小さくて、どこにでも付けやすく安価に作れれば、それは企業としてビジネスにはなるだろうというイメージを持ってやってきた。

太陽誘電で水位計を開発した砂川隆一さん
太陽誘電で水位計を開発した砂川隆一さん

小型で軽量、低コストの水位計には、近年の新たな水害傾向から自治体も注目しているという。

群馬県河川課水害対策室・佐藤啓技師:
異常気象による河川氾濫は、水位計が設置されていない小規模河川でも発生しているという特徴がある。今後、中小河川でも、コンパクトで安い水位計を設置していきたいので有効だと思う。

群馬県河川課水害対策室・佐藤啓技師
群馬県河川課水害対策室・佐藤啓技師

異業種交流によってイノベーションは生まれる

三田友梨佳キャスター:
今回のように既存の技術やノウハウを利用して新しい価値を生み出すためには何が必要なのでしょうか?

エコノミスト・崔真淑コメンテーター:
そもそもイノベーションというのは既にある技術と技術を掛け合わせることによって新しい付加価値を生み出し、市場を開拓していくことを意味しています。
例えばスマートフォンは、パソコンに導入されていたOSだとかアプリの仕組みを携帯電話と掛け合わせることでスマートフォンという巨大な市場を作り上げました。

そうなるとイノベーションというのはアイディアの組み合わせが必要なんですが、その組み合わせはどうしたら生まれてくるのか。
私は、「強いつながり」と「弱いつながり」が大切なのかなと思っています。
「強いつながり」というのは同じ企業内で同じ開発者同士が技術交流だとか情報交換を意味しています。
1から100に対して既存の技術を高めていくには非常に有効ではあるのですが、似たような情報やノウハウが集まってしまうことがあるので、「強いつながり」だけではイノベーションは生まれにくいんです。


三田友梨佳キャスター:
確かに同じ会社で育った者同士だと考え方が似てしまうということがあると思いますが、「弱いつながり」はどういったことですか?

エコノミスト・崔真淑コメンテーター:
弱いつながりは社内だけではなく、開発者の方々が外にどんどん出て研究外であるとか異業種との弱いつながりを作ることで全く新しいアイディアを請け負う、そういった刺激を請け負うということ。
こうした「弱いつながり」をたくさん持っている企業というのは、自社の技術がこんな業種で使えるんだというひらめきが得やすく、イノベーションが生まれやすいとも言われています。


三田友梨佳キャスター:
今回の水位計は従来のものと比べて製造コストが10分の1に軽減されているということですから、予算が同じであれば新たに10カ所設置する方が災害対策にもつながるかもしれません。
こういったイノベーションが今後も生まれることを期待したいと思います。

(「Live News α」7月27日放送分)

 

(FNNプライムオンライン7月28日掲載。元記事はこちら

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