デリバリーはやらない 人気カレー料理人の思考法

社会


新型コロナウイルス感染拡大により、苦境に立たされた飲食店がやるべきこと、あえてやらないこととは。

週に2日、木曜日と土曜日限定でオープンする「kitchen and CURRY」。

「and CURRY」阿部由希奈さん「ここから先の方が、飲食店にとって苦しい時期に入っていくと思っているので、できることは全部やっていくが、デリバリーについてはやらない方針でいる」

デリバリーはやらない。
人気カレー料理人が考える飲食店の役割とは。

日曜日の夕方に行われた、スパイスカレーのオンラインレッスン。

参加者の質問に答えながら、この日一緒に作ったのは、キーマと豆の2種類のスパイスカレー。

教えているのは、人気カレー料理人の阿部由希奈さん(35)。

阿部さんは、東京・世田谷区にあるキッチンで週に2日、テイクアウトとイートインでの販売を行いながら、全国に出向き、さまざまな材料を駆使しながらスパイスカレーを提供する“流しのカレー屋”として活動している。

華やかな見た目のスパイスカレーが人気で、レシピ本は2万冊発行した。

阿部さん「本当は地方に行って、そこの特産品でカレーを作って皆さんに振る舞ったりとか、その場でカレーのレッスンをしたりとかというのをやりたいが、思うように活動ができないというのは現実としてある」

新型コロナの影響で、流しのカレー屋としての活動はおろか、店での営業も制限される形に。

テイクアウトを強化するなど、工夫は凝らしているが、今や飲食店が当たり前のように利用しているデリバリーでの販売は考えていないという。

阿部さん「わたしが作ったカレーを、わたしができるだけ届けたいという気持ちがあって、カレーが届いたときに、お客さまがどんな表情で、どんなところに喜びを感じておいしいって食べてもらえているか。受け渡しのところのコミュニケーションがすごく自分でも大切にしているところなので、そこにデリバリーだと、違う人が、第3者が介入してしまうことによって、そこの思いみたいなものが伝わりづらいかなと思っているので、今はデリバリーは考えていない」

非対面、非接触のサービスが進む今だからこそ、コミュニケーションを大切にしているという阿部さん。

オンラインのレッスンでも、1人ひとりの状況を把握するため、あえて少人数で開催した。

そんな阿部さんは、飲食店の役割について、「体験としてのカレーを移動せずに、どこまで体験してもらえるかというのは、ここからの課題。自分たちの価値をどういうふうに伝えていけるかというのは柔軟に考えていかないといけないと思っているので、今できる限りのことをとりあえずやってみるというのが、自分なりの対策なのかなと思っている」と、話す。

三田友梨佳キャスター「自分たちが提供している価値をしっかりと理解して、それを崩さないようにしている、そんな印象を受けましたが、石倉さんはいかがですか?」

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏「リアルでやっているビジネスをどうオンラインにするかという相談をよく受けますが、あらためてそれぞれが提供してる価値を見直すことは大事だと思います。お客さまにカレーを直接渡したりするという体験を非常に大事にしているからこそ、デリバリーをやらないと言っていましたが、まさにリアルの場だからこそできる深い体験をすごく大事にされていると感じました。オンラインの良さは広く集めていくということでもありますが、逆にいうと離脱のしやすさだったり、体験価値を感じてもらいにくいということもあります。今後、コロナ禍の中では、リアルの場で体験をしていく価値は非常に希少性が高まってくると思いますので、そこは大事にしなければいけないポイントでもあると思います」

三田友梨佳キャスター「オンラインでもコミュニケーションを大切にされていましたよね」

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏「そうですね。この店に行きたいとかこの体験をしたいというふうに思っていただく入り口のツールとして、オンラインは非常に有効だと思います。だからこそ、人柄だったりお店のストーリーだったり、そういったことに共感をどれだけ集められるかがテーマになると思いますし、各社がより取り組んでいくべきことかなと思います」

(FNNプライムオンライン7月30日掲載。元記事はこちら

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