大阪の重症者は東京の倍以上…実はカウントの基準が違っていた 東京都の“言い分”とは

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  • ”重傷者の基準”…国と違っていた都の基準
  • 「ICUに入っていても重症とは限らない」
  • 重要なデータ「政府主導で基準を統一すべき」

8月19日、東京では新たに186人の感染が確認された。

今回注目するのは、医療体制がひっ迫しているかどうかを知る目安として、政府が注視している重症者数。都道府県別に見てみると、東京の8月19日の重症者数は32人となっているが、大阪は東京より感染者が少ないのに東京の倍以上となる65人、全国トップの重症者が出ている。


”重傷者の基準”が違う

なぜ大阪が突出して重症者が多いのだろうか…

佐々木恭子アナウンサー:
今になって、ちょっと驚く事情がわかってきたんです。東京都と大阪府では、”重症者の基準”が違っていることがわかりました。まず、以下が国が決めている重症者の基準です。


佐々木恭子アナウンサー:
「人工呼吸器をつけている」「ECMO(人工肺装置)をつけている」「ICU(集中治療室)に入っている」というのが国が定めた基準です。大阪府に関しては、この国の基準にのっとって重症者の患者さんの数をカウントしています


佐々木恭子アナウンサー:
しかし東京都は、人工呼吸器をつけているか、ECMO(人工肺装置)をつけているという方は重症者として数えているのですが、この2つの装置のいずれかをつけないまま、使わないままにICU(集中治療室)に入っている人は、重傷者にカウントしていないんだということなのです

加藤綾子キャスター:
これは驚きましたよね。基準が割れているということなんですよね?


二木芳人 昭和大学医学部 客員教授:
一番大事な指標の一つでもありますので、全国で統一してもらうといいと思います。ICUは、うっかりするとすぐ人工呼吸器に入ったり、治療が必要あるいは生命そのものの危機があるような人を収容して治癒するわけですから、当然重症というふうに考えなきゃいけないと思うのです


加藤綾子キャスター:
そもそも基準が統一されていない。「感染者数ではなくて、重症者数をしっかりと見ていかないといけないですよ」と言われていた中で、この基準が違っていた…


別所哲也氏:
もちろんこれは統一すべきだと思います。なぜこの違いが出てしまったのか。東京以外にもこの基準を取り入れているところがあって、医療体制やICUのあり方、お医者様の考え方も違うのかもしれないので、どういう経緯だったのかが詳しく知りたいです。とにかく、重症者の定義を全国統一していなければ、定義そのものと統計の意味がなくなってしまうと思います


10都府県に国の基準との違い

加藤綾子キャスター:
FNNで、各自治体の重症者の判断基準を取材したものを地図に色分けしました。黄色い部分の大阪をはじめ、多くのところで国の基準通り重症者は集計しています。ただ、赤い部分の東京都・福岡県・京都府・茨城県などは、集中治療室の患者を重症者として集計していないんです。基準が違うところが東京以外にもありました


風間晋 解説委員:
国の基準と同じなのが38道府県で、そうでないのが10都府県です。この10都府県が共同して国に逆らっているとは考えられない。なので、政府に同じ基準で調査して報告させる努力が欠けているんじゃないかなと思います


風間晋 解説委員:
特に最近の政府のコロナ対策の基本認識は、「4月とは状況が違う、重症者が少ない」というままなので、その認識を支えているのは重症者に関するデータじゃないですか。それだけ重要なデータの取り方が、都道府県によって違い、時期によっても違う…そんなことありえないですよね。あまりにも無頓着過ぎます

東京都は4月の集計に変化

重症者を国の基準ではなく、集計している東京都。

実は、4月下旬に都内の重症者の数が最多の105人になったときは、集中治療室の患者も重症者としてカウントしていた。しかし、その直後の4月末からは、集中治療室に入っている患者を重症者として集計しなくなった。


その理由とは…

佐々木恭子アナウンサー:
なぜ、東京都は基準を変えたのか、理由をこのように説明しています。専門家や現場の意見をヒアリングしました。「ICU(集中治療室)に入っている患者さんが、必ずしも重症ではないと分かってきた」「だから、ICU(集中治療室)に入っている患者さんたちをカウントするのをやめた」ということなんです


佐々木恭子アナウンサー:
具体的には…基礎疾患のある患者さんの場合、例えICU(集中治療室)に入っていても、それは新型コロナウイルスが直接の原因かどうかかわからないから。あるいは、軽症の患者さんの場合でも、ベッドの関係で一時的にICU(集中治療室)を使ってもらうなど、臨機応変に対応することがあるからということ。決して重症者の数を隠そうという意図ではない、というふうには説明しています


”等”をやめて具体的に定義

風間晋 解説委員:
4月26日付で厚労省が、都道府県に対して重症者を調査報告するよう求めた文書の抜粋です。その中で、重症者は「集中治療室(ICU)等での管理  人工呼吸器管理又はECMOによる管理が必要な患者」というふうに説明しているんですよ


風間晋 解説委員:
問題は、この”等”ですね。人によっては、ICU(集中治療室)に入っていないけれど、同等の集中治療を受けている人は、重症者にカウントすべきです。一方で、東京都が言うようにICU(集中治療室)に入っていたとしても、軽症ならカウントしないといった解釈の余地が生まれる。だから、この”等”を止めて、具体的に定義して報告を指示すれば済む話じゃないかと私は思います


加藤綾子キャスター:
この”等”を抜くために、何かできることはないですか?

風間晋 解説委員:
基本的には、集中治療を受けている人…それはどこで受けていても、ICU(集中治療室)に入っていなくても、それを重症者だという定義にすればいいのです

加藤綾子キャスター:
いま間違いなく言えるのは、この基準は分かれていても重症者の数は増えているということですよね

(Live News it! 8月19日放送より)

(FNNプライムオンライン8月19日掲載。元記事はこちら

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