着用したまま演奏できる「管楽器対応マスク」が新しい…開発した島村楽器に聞いた

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  • 着用のまま楽器が吹けるマスクを島村楽器が開発
  • マウスピースと口元の間からの飛沫拡散を防止
  • 担当者「楽器の先から出るエアロゾルの拡散を防ぐ効果はありません」

管楽器専用マスクが登場

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、マスクの着用や手洗いの徹底など、基本的な予防策が重視されている。

一方で、自粛されていたライブイベントやコンサートなどは徐々に再開しているが、演奏者側の感染対策は課題がある。

ライブを開催するプロでなくても、学校やサークルなどの集まりで演奏する際にも3密を避ける必要があり、特に、トランペットやサックスなど、息を吹き込んで演奏する楽器はマスクを着用できず飛沫拡散の心配もある。

そんな中、島村楽器が「管楽器用マスク」を発表したのだ。


シリカゲル製品の開発や製造を手掛けるテクナードと共同開発したという「シリカクリン 管楽器用抗菌消臭立体マスク」

消臭力、除湿力に優れた「シリカクリン」を含んだ特殊な生地の使用、またメッシュ構造を取り入れることで、マスクを着けたままでも管楽器の演奏が苦しくないように作られているという。


マスクを着用していたら、楽器に息を吹き込めないのでは?と思った人もいるだろうが、このマスクは口元に切れ込みが入っており、この切れ込みから楽器の口を差し込んでマウスピースやリードをくわえ、演奏するという構造になっている。そして、演奏時以外は、内側に取り付けられている保護布で切れ込みを塞ぐことで通常のマスクとしても使用できる。

見た目にインパクトはあるが、「楽器に直接口をつける」という行為自体は変わらず、吹き込んだ息は楽器の先からそのまま出ていくため、SNSでは「予防効果あるの?」「マスクをしてもしなくても同じなのでは」といった疑問の声もある。

開発のきっかけや、どんな場面で役に立つアイテムなのか、島村楽器にお話を聞いてみた。

「マウスピースと口元の間から飛ぶ飛沫」に注目

――「管楽器対応抗菌消臭立体マスク」開発のきっかけは?

新型コロナウイルスの感染拡大における新しい生活様式「withコロナ」の社会の中で、私たち島村楽器は、音楽を楽しむ人々のお役に立てるご提案を様々な形で行っております。

これまでの演奏といえば、複数の人々が室内に集まって行う活動が大半ではありましたが、このような状況下で楽器演奏を楽しまれている方々の多くは、マスクを装着しながら演奏したり、集まってもソーシャルディスタンスを保ちつつ、換気のよい場所で演奏されるなど、各々が工夫を凝らして『3密』を回避しています。

しかしながら、息を使って音を出す管楽器においては、ピアノ、ヴァイオリン、ギターなどとは違い、マスクを装着しながら演奏することが困難であったため、今回の開発に至りました。


――「演奏中にも使えるマスクが欲しい」という要望は以前からあった?

「周囲に配慮しながら管楽器演奏を楽しみたい」「ソーシャルディスタンスを保ちつつ、より安全な環境で合奏をしたい」といった声は、音楽教室の生徒様や演奏を教える講師などからたいへん多くいただいていました。


――楽器と口の間を遮らない構造…感染予防効果はあるの?

合奏やレッスンの際、常時演奏しているということはありません。演奏をしていない時や、打ち合わせをおこなう際には、本製品の内側にある「保護布」で開口部を塞ぐことで、通常のマスクとしてもご使用いただける構造となっております。

本製品は演奏中にマウスピースと口元の間から飛ぶ飛沫拡散を防止するアイテムであるため、「楽器の先から出るエアロゾルの拡散を防ぐ効果」はありません。しかしながら、本製品を装着している事で、少しでも感染のリスクが防ぐことができるのであれば、それは管楽器愛好家の皆様に提案させて頂きたいツールと考えております。

ベル(楽器の先)から出る飛沫については、ビニールシート設置や換気等、他の感染予防策と併用していただくのが良いと考えています。

通常時の使用イメージ
通常時の使用イメージ

管楽器を演奏する際、吹き込んだ息は楽器の先からだけでなく、マウスピースを震わせる口元からも漏れることになる。「管楽器用抗菌消臭立体マスク」はこの口元から飛ぶ飛沫をガードすることができるのだ。

島村楽器はこのような効果を踏まえ、「ベルから出る飛沫については、ビニールシート設置や換気等、他の感染予防策と併用」することを推奨している。

今後はフルートなど横笛にも対応の可能性

――こだわった点はどこ?

楽器を演奏される方にとって、音質や演奏性(演奏のしやすさ)に影響しない設計にすることは非常に重要であり、マスクをすることで影響が出るのは最も避けたいところでした。

実際に、弊社でサックス教室のレッスンを担当しているスタッフによる試着・試奏を重ね、音質・演奏性に影響しないよう開口部の長さ・角度を追求して商品化に至りました。

また、楽譜を見ながら演奏される方が多い中、メガネを着用される方にとってくもりの問題も重要でした。「くもりにくい素材はないか?」という観点で素材を探したところ、湿度調整(吸湿)作用があるシリカクリンという素材に着目しました。


なお現在、フルートやピッコロなどの横笛楽器には対応していないというが、「多くの管楽器愛好家の方々から同様のお声を頂戴しており、横笛に対応するマスクについては、開発の可能性について検討しています」とのことだ。

価格は1枚1680円(税別)、サイズはSとMの2種類。全国の店舗と直販サイト「島村楽器オンラインストア」で販売している。

withコロナの生活に欠かせなくなったマスク。今後も増え続けるだろう様々な着用場面でのニーズに応えるアイデアが期待される。
 

(FNNプライムオンライン8月23日掲載。元記事はこちら

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