あのメリーゴーラウンドの気になる今後は…約1世紀の歴史に幕 都心の遊園地「としまえん」

社会 旅と暮らし

  • としまえんは94年の歴史に幕を下ろした
  • 気になる世界最古級メリーゴーラウンドの今後は
  • 担当者「5年10年後を見据えて点検」

世代を超えて地元に愛されたとしまえん

東京・練馬区にある「としまえん」は、8月31日に94年間の歴史に幕を下ろした。

としまえん
としまえん

1926年(大正15年)、としまえんは「練馬城址 豊島園」として、その歴史の一歩は踏み出された。

1938年ごろの正門 としまえん提供
1938年ごろの正門 としまえん提供

園内にある多くのアトラクションが、小さな子供から高齢者までが楽しめるもので、昔ながらの「遊園地らしい遊園地」を感じさせてくれる。

1951年の園内の風景 としまえん提供
1951年の園内の風景 としまえん提供

世界初の流れるプールや、今では当たり前となっている「フリーパス」を日本で初めて導入するなど、時代の最先端に取り組んできたことも、としまえんが永く愛された理由だろう。

周りには多くの住宅地があるとしまえん。取材当日も、来園者の多くが近隣住民だった。

「庭のような感じ」
「自分の一部が無くなる感じ」
「自分も来て、子供も連れてきて、今日は最後に孫を連れてきた」
そんな声が多く聞かれた。そこにあることが当たり前だった。近隣住民にとって閉園の知らせはあまりにも突然で、悲しいものだった。


世界最古級の木製メリーゴーラウンド

数あるアトラクションの中、一際注目を集めるメリーゴーラウンド。

1907年にドイツの機械技師によって作られた、世界最古級の木製メリーゴーランド「カルーセルエルドラド」だ。

カルーセルエルドラド
カルーセルエルドラド

完成後、海を渡ったエルドラドはニューヨークの遊園地コニーアイランドで50年以上に渡り人々を楽しませてきた。

その後、園の閉園に伴い一度解体され保存されていたところ、としまえんが購入して、エルドラドは再び海を渡り日本にやってきた。そして、およそ2年にも及ぶ修復作業を経て、1971年4月、としまえんにお目見えした。

1969年頃のエルドラド としまえん提供
1969年頃のエルドラド としまえん提供

木馬やゴンドラ、彫刻、その全てが手彫り。「エルドラド」とはスペイン語で「黄金郷」。繊細で優雅、まさに「特別な空間」を演出している。


入社以来36年間、メンテナンス作業に携わっている佐藤誠さん、60歳。

佐藤さんの点検作業に同行し、カルーセルエルドラドの地下へと案内してもらった。

メンテナンスを担当する佐藤誠さん
メンテナンスを担当する佐藤誠さん

大人が直立できないほどの天井の高さ。想像していたより広い。壁などは歴史を感じさせ、しっかりと整備が行き届いている機器が並ぶ。部品交換などを行いながら、稼働開始以来同じ仕組みで動かしているだという。

メリーゴーラウンドの地下空間
メリーゴーラウンドの地下空間

映像を見て気づいただろうか。カルーセルエルドラドは、内側、真ん中、外側と(円が)3列構造となっていて、それぞれ違う速度で回っている。

そのような演出も、回るだけではない「特別な空間」に一役買っているかもしれない。

「カルーセルエルドラド」気になる今後は?

「乗られる状態で、近くに残して」
「遠くに行かないで欲しい」
来園者から聞こえてくる声全てが、その存続を求めるものだった。

としまえんでは、「一度解体して保存することが決まっており、その後何らかの形で、どこかに設置できるよう検討している」としている。

ネット上などではすでに練馬駅に置いてはどうかなど、その行き先について盛り上がりを見せ始めている。

アメリカで、そしてとしまえんで、100年以上にわたり人々の夢を乗せ回り続けてきたカルーセルエルドラドは、いつかまたくる「その時」まで、休息の時を迎える。

取材後記

「乗り物は、今日直せば(今日動けば)オッケーというものでなくて、5年後10年後を見据えて点検したり、整備をしているので、閉園が決まってからは”その先”を考えなくていいのかな…ちょっと肩の荷が降りたかな」佐藤さんは話してくれた。

言葉の重みを感じるとともに、長く親しまれ愛されているものはカルーセルエルドラドに限らず、全てがそうなのかなと感じた。

今日だけ良ければいいのではない。
報道の日々の仕事も、その時その瞬間を伝えるのはもちろんのこと、5年後、10年後に、語り継ぐことができる映像を、もっと心がけて撮影したいと思っている。
執筆:市川敏史

としまえんに入社以来36年整備してきた佐藤誠さんの「エルドラドは、毎日のメンテナンスが、大切!」という言葉が胸に響いた。
佐藤さんがエルドラドの地下で、電装系・モーター・車軸を丁寧に確認しているまなざしは、可愛い大切な子供を見つめているようだった。一方で、としまえん閉園を惜しんで来園する地元の家族は、思い出を語りながら「としまえん、ありがとう!」と笑顔でインタビューに答えてくれた。人の気持ちに触れることができたと感じる映像取材だった。
執筆:草間智博

エルドラドは、来園者、周辺住民、整備員、従業員など、それぞれの人生を支えてきた。取材中、来園した人たちの表情を見つめながら、94年にわたって、エルドラドが時代、人の喜怒哀楽を載せて回り続けていたということに気づかされ感動した。
執筆:太田隈敦

(FNNプライムオンライン9月7日掲載。元記事はこちら

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