網に絡まり、足は壊死…瀕死のウミガメを保護 おなかにはプラごみやライターの部品【島根発】

社会 環境・自然

  • 網に絡まり…島根・隠岐の島にウミガメが漂着
  • 島民の協力と懸命の治療で回復 しかし…
  • ふんの中にはプラごみが…生き物が死滅することも

隠岐の島の海岸に網に絡まったウミガメが…


島根・隠岐の島町で8月末、網に絡まったウミガメが見つかった。
瀕死(ひんし)の状態だったが、島民の連携によって回復。
一方で、このウミガメを通して深刻な海の問題も見えてきた。


隠岐の国ダイビング 安部由起さん:
頑張ったね…本当によく頑張ったね

保護されたアカウミガメは、右の前足などに大けがをしていた。


隠岐の国ダイビング 安部和人さん・由起さん:
すごく痛々しくて、言葉がない感じでした。人間が捨てたごみに絡まっていたので、人間を代表して謝りました


8月30日、隠岐の島町の西郷港近くの海岸で地元の住民が見つけた。
右の前足などが網に絡まり、身動きが取れなくなり漂着したとみられている。


発見した高梨祐汰さん:
弟たちが海水浴をしていた時に、岩場に乗り上げていたカメを見つけて。そのカメが右の前足、後ろ足が網に絡まっていた


発見した高梨蒼大君:
最初見たときは岩かと思って勘違いしたけど、よく見たらカメだったのでびっくりしました

島民の連携で救出成功 しかし…

その後連絡したのは、知り合いで海の生物に詳しい専門家の男性。
そこからさまざまなネットワークを駆使してウミガメを救出したが…


救出にあたった大津浩三さん:
右前足がかなり腐食していました。相当長い期間流れてきたのではないかな。翌朝まで生きてくれるかどうか、かなり心配しましたね


町内に住む島根大学・生物資源教育研究センターの小野助教たちと連携し、大きな水槽のあるダイビングショップに運び、懸命の治療にあたったという。

ウミガメは大けがをして衰弱した状態で、長い間網に絡まっていたため、壊死した右の前足を失ってしまった。


隠岐の国ダイビング 安部和人さん:
イカはかなり大好きなようで、エビも最初は食べていた

島根大学 生物資源教育研究センター 小野廣記助教:
野生動物ってすごいなと思いました。あんな大けがを負ってしまったら、普通食事も摂れないだろうと思うのに、みるみる回復していったのが目に見えて分かるので

それでも多くの住民の協力を受けての治療が功を奏し、元気を取り戻したウミガメ。
生きる希望を託して、「リブ」と名付けられた。


隠岐の国ダイビング 安部由起さん:
たくさんの方に助けてもらったのでそれは本当に、幸せですよね、リブさん

隠岐の国ダイビング 安部和人さん:
知らない方でも寄付をもらったりとか、エサのイカをいただいたり

国内でもめったに姿を見ることがないというアカウミガメ。
一目見ようと、見学に訪れる人も…



ウミガメが訴える海洋ごみ問題

一方、この「リブ」の保護からある問題も見えてきた。
これはフンの中から見つかったごみ。
ライターの部品やペットボトルのキャップなどのプラスチックごみだった。


海中に漂っているのを誤って食べてしまったようだ。

この海洋ごみの問題、先日は松江市鹿島町の海岸でも…


ボランティアによる清掃で回収されたのは、漂着した網やロープなどの漁具、それに多くのプラスチックごみだった。



まつえ環境市民会議 木下正人さん:
(生き物にとって)特にプラスチックがマイクロ化すると、えさと間違えて食べます。消化しませんので、体内にずっと残っていって、弱っていって死滅してしまうようなことが起きていますので、一番問題になっています

アカウミガメのリブが、どこでこうしたごみを食べ、網に絡まったのかは分かっていない。しかし、美しい隠岐の海岸でも多くの漂着ごみが大きな問題となっている。


島根大学 生物資源科学部 小野廣記助教:
中々見かけないタイプの網ではあったのですけども、どこから流れてきたのか、それが原因になってカメが打ち上がることになってしまったので。そういうごみを捨てないことを、まず心がけていただけたら、こういう不幸な生き物を増やさなくて済むので…


海洋ごみ問題を改めて訴えかける、アカウミガメのリブ。
10月6日に、飼育環境の整った兵庫県の須磨海浜水族園に移されることが決まった。

隠岐の国ダイビング・安部由起さん:
一番は、元気にまた海を泳いでもらいたいですね


 

【取材後記】
アカウミガメはもともと太平洋側の暖かい海にいるカメです。時折対馬暖流に乗って日本海側に来ることもあるとのことですが、取材した島根大学の海洋の専門家も「生きた状態で見るのは初めて」ということでした。対馬暖流に乗って島根県沿岸に来ても元々の海水温より低い海域のため死んでしまうようです。2020年8月は猛暑の影響もあり、島根県沿岸でも平年より3℃ほど高く30℃ありました。
だからこそ、生きたまま保護された可能性もあります。

また身動きができない状態でしたので、住民に発見されなかったらエサを食べられず死んでいたかも知れず、まさに奇跡の積み重ねで保護されたと思います。

そんなエピソードに加えて、カメの糞から出てきたのがライターの着火部品やペットボトルのキャップなどでした。

以前、カメの鼻にストローが突き刺さった映像が公開されて、世界的に「脱プラスチックストロー」の動きが出たことがありますが、今回の件も「海洋ごみ問題」を訴える意味ではインパクトの大きい出来事だと思います。
今のところ、カメがどこで網に絡まり、プラスチックごみを食べていたかは分かっていません。海外である可能性もあります。

私自身、大学で生物学を専攻していた経緯があったり、気象予報士として地球環境問題を啓発したりする機会は多く、心に響く出来事でもありました。

10月6日には兵庫の須磨海浜水族園に移送されることが決まっています。(これも地元町役場や町民の働きかけです)
引き続き、この保護アカウミガメを取材し、できれば自然に帰る瞬間まで追いかけられればと思います。

TSKさんいん中央テレビ・アナウンサー 山根 収


(山根 収 TSKさんいん中央テレビ・アナウンサー)

(FNNプライムオンライン10月7日掲載。元記事はこちら

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